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〇微睡みに貴方といれたら-Purple ページ19




ポロン、

こじけん起きてる?


短く送られてきたメッセージに

布団の中でうつらうつらしてた意識が急にはっきりした。


『寝かけてました』

そう送ろうとして、

この間の水族館のことを思い出して、文章を消す。


よっしー起きてます。


送った瞬間、既読がつく。


こじけん電話、かけてもえぇ?


ストレートなお誘いに

束の間、何て返そうか戸惑う。


何回か書いては消して、を繰り返して結局、

「いいですよ」って

また色気もない業務的な返事を返してしまった。


送ってすぐにまた既読がついて


Prrr Prrr


着信はもっとすぐで、


「……もしもし、」

健『よっす』

「どうしました?」

健『やっぱ寝てたんやんよっしー。

 声、ぽわぽわしてんで』

「そんなん、だって、」


もう0時ですよ?

時計をチラッと見ながら、

でもそれ以上言うのはやめた。


健『ごめんな、また今度でもえぇけど』

「いや、いいです。今聞きます」

健『たいした用ちゃうって』

「えぇです、せっかく起きてたんやもん」


小島先輩の今度って、いつになるか分からんし

それに、

真っ暗なベッドの中で聞く

電話越しの小島先輩の声が

いつもよりちょっとだけ低くて、落ち着くから。


もう少し、聞いてたいなぁって。



健『夏旅行、行ってきてん』

「あぁ、SNS見ました。九州でしたっけ」

健『おん、福岡とか行って』

「楽しかったですか?」

健『まぁ、ぼちぼちやな』

「嘘、小島先輩めっちゃ写真投稿してたやないですか」


部活の先輩らしい人らと撮った写真とか

福本先輩と花火して走り回ってる動画とか

あんだけあげといて「ぼちぼち」なんて

嘘もえぇとこや。


「こっちは夏講習で毎日学校やったのに」


あぁ、あかん。

こんなかわいないこと言うたら、また傷つけてまう。

けど、少しだけ。

寝ぼけてるから許して。


健『お疲れ様、毎日頑張ってんな』

「はい、……頑張ってます」

健『大学、結局どうするん?』

「受けますよ、小島先輩の大学。今のところ第一志望で」

健『そっか。

 あのな、よっしー』


急に改まった声出すから

こっちも少しだけ身構える。


健『……大宰府行ってな、合格の御守売っててん』

「うん?大宰府?菅原道真様?」

健『そう、学問の神様やって』

「うん、聞いたこと、ある」

健『やからな、その、

 よっしーの合格の御守り買ってきたから、

 渡したいなぁって』

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設定タグ:Aぇ!group , 福本大晴 , 小島健   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:マリア | 作成日時:2023年10月3日 0時

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