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「どうして楽器店で？」
良「あらら、知らへんかった？
ギターやんねんで、俺」
「え、……初めて、聞きました、」
正門先輩が、ギター。
絶対似合う、カッコいい。
うぅぅ、鬼に金棒ですか？
ズルいよぉ。
「見てみたい……、」
良「えぇよ？」
「え！？」
口から零れていた願望に
正門先輩からまさかの快諾が返ってきてビックリする。
良「その代わり、エリーちゃんの書店員姿も見せてな？」
「え、それは、」
良「えぇー。ギター、見てほしいねんけどなぁ……」
「うっ……、善処します」
そんな甘えるような上目遣い、どこで覚えたんです？
私まったく耐性ないですよそんなの！
まんまと正門先輩に乗せられちゃって、
先輩は「やったぁ♪」って嬉しそうだし、
……絶対、店長しかいない日に来てもらおう。
それしかない。
良「じゃあ、俺も茂さんにお土産買って帰ろかな」
「茂さん？」
良「城島楽器店の店長。えぇ人やで、めっちゃギター上手いし」
「へぇ、」
良「お店来てくれたら紹介するな？」
「楽しみです」
正門先輩がいい人って言うんだから
お話してみたいなぁって、名前を心に留めておきながら
お土産屋さんを見て回る。
良「このクッキーえぇなぁ」
「いいですね。個包装だし」
良「わかるわかる、小分けにせな取る方も取りにくいしな」
じゃあ、これ2つお揃いで買っていきますか」
「お揃いとは言え、ですけど、」
良「お揃いなんは茂さんとエリーちゃんのバイト先の人らやんな(笑)」
・
「練り香水、か、」
良「お友達に？」
「そうです、金木犀……うわぁ、いい匂い」
テスターをつけた手首から
ほんのり甘い香りがする。
良「ほんま？嗅がせてや」
「ひっ、うう」
手の甲をふわって包まれて
そのまま持っていかれた手首に
正門先輩の綺麗な顔が近づいて。
良「あ、ほんまや。ええ匂い」
「あ、あの、」
良「ん？どした？」
手の甲を包む正門先輩の手が少しだけギュってして。
絶対確信犯でしょう？こんなの。
良「あ、でもこの匂いもええやん。桃やって」
「ほら」ってテスターをつけた手首を
すって近づけてくる。
過剰摂取！って逃げたくなった瞬間に、
桃のほんのり淡くて、甘い匂いがふわっと香ってきた。
「あ、……いい匂い」
良「気に入った？」
「はい、」
良「俺も、」
桃の匂いがする正門先輩の手に、また撫でられて
胸が甘い気持ちで溢れそうになる。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月3日 0時
