・ ページ16
・
一瞬の出来事の後、ぽつんと残された私と正門先輩。
良「こじけん、お腹大丈夫なんかな?」
「あ、……多分、」
すれ違った時にバッチリウインクしていったので、
大丈夫だと思います。
昨日、なんやかんやあって
こじけんくんもなぜか一目惚れ同盟名誉会員になったので。
なんて、絶対に言えはしないんだけど。
良「エリーちゃん、」
「は、はい、」
やっぱり、正門先輩に呼ばれる“エリーちゃん”は
ドキドキする。
良「一応こじけんにお役目もらった訳やし、
お土産買うの、お供させていただいてもよろしいですか?」
王子様みたいに胸に手を当てて、
背の低い私を覗き込むように聞いてくるから
ドキドキした胸が、ドッキドキになって。
はわわわ、熱が出そう……。
「ど、どうぞ……」
良「ははっ(笑)
やっぱし、かわえぇわ」
もう慣れてるみたいに髪の毛をよしよしって撫でて
にこにこ笑ってる正門先輩に、
私は当然、まだ慣れない訳で。
大晴くん、やっぱり私、無理かもしれない……!
こんな、ラスボス相手に
チュートリアルすら終わってない初期装備で挑むなんて!!
良「ん、行かへんの?」
「い、行き、マス」
頑張れ私、負けるな自分
ファイト、ファイト!!
良「エリーちゃんは誰と誰にお土産買うん?」
「え、っとですね。
学科のお友達と、バイト先です」
良「あれ、もうバイトしてたっけ?」
「はい、夏休み前入ってから本屋さんで」
良「あぁえぇな、似合うてるわ。
その内お買い物に行こ」
「え!?そ、それはちょっと、」
良「えぇ?なんでよぉ(笑)」
「は、恥ずかしいです……」
あと、正門先輩が来たら
多分、仕事どころじゃなくなるもん。
私以外のバイトの子達も
絶対、「あのイケメン誰!?」って騒ぎになるし。
それは、ちょっと嫌だな。
って、あれ、
嫌だな、なんて、
仲いい人たちばっかりなのに、変だな。
この気持ちなんだろう?って思ったけど、
正門先輩ほったらかしにするのもダメだし
また後で考えよ。
「正門先輩は、どこでバイトしてるんですか?」
良「楽器屋さんやで。個人店のちっさなとこやけど」
「楽器屋さん、」
良「城島楽器店ってあるやろ?大学の近くに」
「あ、あのお店ですか?」
良「そうそう、いつやってるか分からへんって
みんなから言われるあっこ(笑)」
た、確かに薄暗くて
いつ開いてんだろうって通りがかるといつも思う。うん。
166人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:マリア | 作成日時:2023年10月3日 0時