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江「私なんて、そんな、全然、」
「ネガティブやなぁ……あ、」
エリーの言葉聞いて、ふっと思い出した。
江「どうかした?」
「あ、いや。
そう言えばユキさんも花火大会の時、おんなじこと言うてたなぁって」
江「え、そうなの?」
「脚本入ってくれてありがとうって話になって、そん時に」
江「大晴くん、なんて返したの?」
「え?よぉ憶えてへんけど……、
でも、ユキさんやから楽しいって言った気ぃする」
改めて思い返したら
あれ、半分告ってるようなもんちゃうん?って思うけど、
伝わってへんねんなぁ、本人には。
ユキさんって意外と超鈍感やったりするん?
江「そっか……、
そう言ってもらえたら、いいよね」
「え?」
江「いや、私も口癖みたいで
つい、「私なんて」って言っちゃうから。
たまに「反応に困る」って言われることあって、」
気まずそうに俯くエリーの眉が困ったように下がる。
何やろ。
エリーって、どっかユキさんに似てる気ぃする。
自信がないとことか。
「口癖って分かってるなら、なおせるんちゃう?
言わないように、はむずいかも知れへんけど
ちょっとだけポジティブな言葉に変えてみるとか」
江「かえる?」
「おん。
例えば、否定するんやなくて「ありがとうございまぁす♪」って
受け取ってみるとか」
江「受け取ってもいいの、かな?」
「ええやん、せっかく褒めてもらえてるんやし。
お世辞でもなんでもえぇこと言ってくれてるんなら
拒否るより受け取った方がお得やで?」
江「そ、うだね、」
「言った方も嬉しいしな、受け取ってくれたら」
江「そっか……、」
目の前でうんうん悩んでるエリー。
エリーって引っ込み思案やけど
見てたら表情豊かやし、
今、稽古中やけどもっと舞台上でこれ出れば相当ええんちゃう?
絶対化ける。
「エリー、マジで髪切らへん?」
江「えっ?」
「ほら、新入生公演もあるし、
“のっ子”ってかわえぇ役やん。
絶対似合うって!
眼鏡も取ってぇ……、」
江「ひゃあ!」
「ほら、かわえぇやん!」
メガネなくて目ぇしぱしぱしてるけど
うん、めっちゃえぇ。
俺、人見る才能あるかもしれへん(笑)
江「でも、私、」
「エリー、変換変換」
江「うっ、」
しばらく唇がゴニョゴニョした後、
江「……ありがとう、大晴くん」
そう言って微笑んだエリーがかわいくて、
ちょっとだけ、マジで見惚れた。
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作者名:マリア | 作成日時:2023年10月3日 0時