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ずっとスマホにガン飛ばしてたのはどうやら、
「夏旅行のお土産何がいい？」を送ったのはえぇものの
「無理しないで」ってつれなく返されたそうで、
「旗色悪いな、だいぶ」
誠「やろ？」
話はたまに聞いてたし
ちらっと会うこともあったけど
誠也くん！って駆け寄ってくるかわいい感じの子やっただけに
今があんまりよろしい状況じゃないってのは俺でもなんとなくわかった。
誠「多分やけど、A好きなヤツおんねん」
「え、そうなん？」
誠「うん、朝起きて部屋見た時に
「恋するハーバリウム」って今流行ってるヤツ置いてあって」
「好きな人がいると？」
誠「本人に聞けてないから分からんけど」
「けど、」
誠「……それ見た時、ちょっとショックやってんな」
窓枠に頬杖をついて外を眺める末澤。
カッコつけてるけど、
寂しそうな声してんで。今。
誠「ずっと、守ってやらなって思ってたから。
妹やから。
Aはいっつも、「誠也くん、助けて」って言うから。
せやけど、アイツに好きなヤツおるって思ってから
俺も、なんか前みたいに普通に話せへんようになって。
俺が、もしかしたらAの恋を邪魔してるんちゃうか、とか。
もしそうやとしたら、今の距離感もAにとっては
えぇのかも知れへんけど、」
「けど、……嫌なんやろ」
誠「うん……、俺が嫌や。
近くにおってほしいねん、Aに」
「……そんなら、そう言うしかないやんか。
バカ正直に」
それはきっと、末澤の得意技やから。
裏も表もないコイツの言葉は
舞台の上でも、そうじゃないところでもいつも人を惹きつけるから。
ちょっと間が空いて末澤が振り返る。
その顔はいつもと同じ、ふてぶてしいくらいカッコえぇ顔してて。
おん、やっぱ末澤はそういう顔の方が見慣れてるわって
ちょっとほっとした。
誠「ほんま、リチャきよカップルには助けられてばっかやな」
「え、
誠「この間、話聞いてくれてな」
「ありがとう」って言っといて、って
素直にそれを言える末澤はやっぱりえぇヤツやし、
誠「……バカ正直に言ってみるわ、リチャ」
「おん、頑張れ」
俺の周りで一番のえぇ男や。
―そろそろコテージつくから荷物整理しといてくださぁい―
「あ、寝損ねた」
誠「何言うてん。リチャ、今夜は徹夜やで？」
「え、」
あかん、これは今夜も寝れる気がせぇへん。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月3日 0時
