・ ページ9
・
熱い手の平に包まれて顔の温度があがる。
「ま、さかど、先輩？」
良「あれ、もうバレちゃった？」
あっさり離れていった熱を追いかけるように振り返る。
「あ、」
章次郎さんだ。
心拍数があがっていく。
あの舞台の一幕がフラッシュバックしてくる。
目の前に立ってた正門先輩は
『欲動』の時の浴衣姿で。
「え、え？」
良「エリーちゃん大丈夫？」
眞「正門君の犯罪的目隠しにやられたんじゃ？」
良「まなっさん辛いわ相変わらず(笑)」
目の前で言い合ってる眞鍋先輩と正門先輩見てたら、
本当に『欲動』の世界に飛び込んだみたいで。
いや、2人ともそんな痛烈な言い合いしてないけど！
菊「まっさぁん、何杯飲んだん？」
良「キク子ベロベロやないの(笑)
んー、まだビール2本くらいやな。結城、迎えに行かなあかんし」
菊「あ、ユキねぇ！
ふっふっ、楽しみにしといてなぁまっさぁん♪」
良「もぉ、この子に誰か水飲ませて？」
キク子さんのはだけそうな浴衣をしれっとなおしながら
困ってる正門先輩から目が離せない。
あの時のドキドキが、戻ってきたみたいで。
誠「あぁぁ！リチャぁ！！」
リ「うわ、末澤もうできあがってるやんめんどくさ(笑)」
誠「おそぉぉいぃぃ」
だだこねまくってる聞いたことがない誠也先輩の声がして、
気になりすぎて振り返る。
リ「そこでユキに会うたから一緒に迷子なってた、な？」
結「だってリチャ君地図見るの下手で(笑)」
リ「二ホンのチズチョットワカラナイね？」
楽しそうに話してる結城先輩も
今日はすっきり髪をあげた浴衣姿で。
あれ、あの浴衣、もしかして、
良「あれ？結城、それ露子の衣装やん」
舞台の中盤、
露子さんが章次郎さんに愛を伝える時に着てた、
章次郎さんが「今宵はまた、月も花火も霞むくらい綺麗やなぁ」って言ってた浴衣。
え、うそうそ。どうして。
菊「驚いたぁまっさぁん？
かわえぇやろぉ？
あたしらが浴衣着てるのやって、ユキが「2人とも着るなら」って言うから
しゃぁなし着てるんやで？
これ頼んだ時からユキぜぇったい似合うやんって
拝み伏せて着てもらったんやから、しかと堪能しぃや？
あ、たいせーおるぅ？」
にやりと悪戯な顔しながら言ったキク子先輩に
大晴くんが「なんやねん」って返事をしてて。
いや、それどころじゃなくて。
「どうかな、」
良「うん……、かわえぇ」
目の前の2人から、目が離せない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 142人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マリア | 作成日時：2023年9月4日 20時
