・ ページ7
・
怖いお兄さん(実は部長さんらしい)に事情を説明したら、
『可哀想やん、飯くらいゆっくり行ってきぃや』って
意外に優しいこと言ってくれて
Aちゃんと大晴くんと学食で昼ご飯を食べることになった。
大「なんか俺も一緒で悪いな、晶哉(笑)」
「まぁ、今回は特別に許しましょう」
プリン奢ってくれるって約束したしな。特別にな。
「けど、2人も急に辞めちゃって公演大丈夫なんですか？
脚本も変えなあかんとことかあるんでしょ？」
大「まぁ、なんとかなるっぽいで。ただ俺は大ピンチやねんけど」
「何かあったんですか？」
大「実は俺、代役で舞台出ることになってん」
「えっ！大晴くん役者やるん！？」
大「そ。もぉ自信ないってぇ……(苦笑)」
「えぇ、めっちゃ見たいです大晴くんの芝居(笑)」
唸りながらテーブルにつっぷす大晴くんとそれ見て軽口を叩く俺。
あれ？今の俺らただの友達やん。
あかんあかん！
大晴くんのにこにこオーラにすっかり流されてもうてる！
ここはライバルとして先制攻撃をしかけな！
「そう言えば、
Aちゃんまだ夏休み予定ないって言ってましたけど、
大晴くんはどっか行ったりしないんですか？」
大「え？あー、そぉやなぁ……。
今度の花火大会は部活のみんなで行くし、
夏旅行が九州2泊3日って言うてたやろ？
あとはずっと新入生公演の稽古やから2人きりってのはないなぁ」
いや、どこが「ないなぁ」やねん！
つまりずっと一緒ってことやんか！
この贅沢者！！
今すぐ張り倒したい気持ちをぐっと我慢して
大晴くんをちょっとだけ睨んどったら、
大「晶哉はユキさんとどっか行くん？」
「え？いや、……俺もまだ」
受験勉強もあるし、正直Aちゃんにはまだ何も言うてへんけど。
しどろもどろになる俺を大晴くんはまっすぐ見てきて、
大「晶哉、頑張ろな」
「え？」
大「色々あるかも知らんけど、
ユキさんをいっぱい笑顔にしてあげれるよう頑張ろ！」
まるで何かの覚悟を決めたようにそう言って笑った大晴くんは
前よりも大人びて見えた。
「おん……そうやな」
カッコつけて返した自分の目線の先に映った制服のズボンが
なんか急に歯痒くなる。
結「おまたせ。晶哉の制服のおかげですぐ席が分かったよ」
大「よかったっすね(笑)晶哉、俺らも飯選びに行こうや」
「え、あ……うん、」
ライバルは確実に先行ってるのに
俺はまだこの制服を脱げへんのや、って。
〇私だけのワンシーン-Blue→←〇17歳はオトナビタガリ(後編)-Green
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 142人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マリア | 作成日時：2023年9月4日 20時
