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健「さぁエリーさん到着しました、ここが！
太宰府天満宮の本殿でございます！」
「こじけんくん、ガイドさんみたい(笑)」
結局、誠也先輩にちゃっかり奢ってもらったいちご団子を食べて
上機嫌のこじけんくんと本殿へお参りに並ぶ。
健「あ、あっこ並んでんのまっさんとオリバーさんや」
「え？あ、本当だ」
10人くらい前に、
夏休みだからってゆるくパーマをかけたって言ってた茶色い髪の毛が
ぴょんってはねてる。
朝、「寝癖なおらへん！」ってキク子先輩からアイロン借りようとしたら
二日酔いの八つ当たりされてたっけ。
健「声、かける？」
「え？」
健「いや。気分やないならやめとこかな、って」
この何ヶ月かで分かったこと、その2。
いつもは奇天烈で面白いこじけんくんは
実はとっても気遣い屋さん。
さっきだって本当は、本当に私が1人だから声をかけてくれたんだろうし
今だって、
「……今は、いいかな。
ありがとう。こじけんくん」
健「おん。俺で満足しといて」
冗談言ってるけど、私に気を遣ってくれた。
こじけんくんは多分、私の気持ちに気づいてる。
「うん、こじけんくんがいい。今は」
健「……意外とあざといんやな、エリーって」
そんな話をしながらお参りを済ませて
近くのお守り売り場に通りかかったら、
健「あ、エリーごめん。ちょっと寄ってえぇ？」
「うん、いいよ」
目をぎゅっと近づけて
一生懸命何かを探してる。
そう言えば、あんまり目、良くないんだっけ。
「探すの手伝おうか？」
健「あ、すまん。合格御守探してて、」
「合格……、あ、あった！」
健「おぉ、サンキュ」
御守を渡したら、少し目を細めて確認してから
「これください」って巫女さんに声をかけてて。
もらった御守を大事にバッグにしまったら
健「よし、行くか！」
って、満足そうな顔してる。
「兄妹にお土産？」
健「いや、後輩にな」
「優しいね」
健「まぁ……、半分下心やけどな」
「下心？」
意外な言葉に横を向いたら
こじけんくんは少しだけ、いつもより甘い顔をしてて。
健「受かってもらわな、俺があかんから」
あれ、今、こじけんくんキラキラして、る？
「受かると、いいね」
健「おん」
咄嗟にでた有り体な言葉に
照れくさそうに笑ったこじけんくんは
見間違いじゃなくて、やっぱりキラキラしてて。
多分、それは大晴くんと
同じ成分でできたキラキラだって
直感的に思った。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年9月4日 20時
