◆キラキラの成分は ページ44
・side.Ellie
―えー、じゃあ2時間後にバス集合で。
遅れたやつは問答無用で太宰府に置き去ります、解散！―
先輩の笑えない冗談を合図にバスから降りたら、
人がいっぱいいて
ちょっとひぃぃってなった。
なんでも学業の神様で有名な場所で
お昼ごはんは参道で各々食べ歩きしてね、ってことらしいけど。
どうしよう、人がいっぱいいるし
誰かと周りたい。
でも。
キク子先輩は眞鍋先輩と仲良く……というか
二日酔いのせいで支えられてるし、
3年の女子の先輩もそれぞれ楽しそうだから声をかけられない。
ちらっと見た正門先輩は
役者組で楽しそうに話してるし。
うぅ、どうしよう。
観光地でぼっちは、ちょっと寂しいな……。
健「笑ってもっとエリー♪なんてな」
「え？あ、こじけんくん」
健「はい、こじけんさんです」
「何かご用で？」
健「いや、見るからに「ぼっちになりそうで寂しいな」顔してたから、
俺の出番かと思い、」
「え、そ、そんな分かりやすかった……？」
ほっぺたをむにゅ、としてみるけど
自分では当然分かんなくて。
潰れたまんまの私のほっぺの上から
こじけんくんの手が重なってもっとぷにゅ、ってなる。
健「ウソ。
俺がたいせーにフラれて寂しいから
エリー道連れにしたろって思ってん」
「へ、たいへーくんとこに？(え、大晴くんどこに？)」
健「ん。愛しのマドンナのとこ」
こじけんくんの手から解放されて
潰れたほっぺを擦りながら振り返ったら、
大晴くんが結城先輩と楽しそうに話してるのが見えた。
健「健気なやっちゃなぁ、いっそ尊敬するわ」
「うん……、なんか大晴くん見てたら元気になれるよね」
健「アホ正直やねんな。
高校ん時はもっとイキった恋愛してたけど」
「そうなの？」
純情100%で構成されてそうな大晴くんからは、
想像できないなぁ……。
健「たいせー、高校でかなりモテモテやったからな。
勉強できるし運動できるし、
明るいし優しいし」
「うぅ、なんと絵に書いた王子様、」
それに勿論カッコいいんだもん。
それは、世の女の子は放っておかないか……。
健「まぁ、今のたいせーの方が俺は好きやけどな」
「え、」
健「必死に恋してるたいせー、かっこえぇやん」
そう言い切ったこじけんくんの顔は優しくて。
「うん、そうだね」
嬉しそうに結城先輩と話す大晴くんはキラキラしてて、
あれが恋してる姿なんだなって
私でも分かるくらいだもん。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年9月4日 20時
