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お手洗いに行ってきます、って部屋から出て、
気持ちはずっとそわそわしてて。
エリーちゃん
去年の作品の主人公
主人公を応援する男の子
主人公に似てる気がする私
結城先輩の内面を表した2人のエリーちゃん
ぐるぐる渦を巻く水の中に、一滴の藍が混じるような。
あぁ、ダメだ。
このままお部屋に帰っていいのかなって
ぼんやり自販機の前で突っ立ってたら、
健「あれ、エリーここで何してるん？」
千円片手に現れたこじけんくんからは
うっすら潮の匂いがした。
健「もぉ先輩ら初日から飲み過ぎてヤバいって。
眞鍋先輩のイギリス留学頑張れ会とか言うてさぁ、
俺らマジで未成年でよかったなってたいせーと言うとったもんな」
「お疲れ様、です……」
健「そう言やまっさん見てへん？
さっき『ちょっと水買いにいくわぁ』って
顔真っ赤にして中入って行ってんけど」
「え、見てないよ？
さっきまで船室いたんだけど、お手洗い行ってここに来たから」
健「ひとり？」
「ううん、結城先輩と2人」
健「まじか、」
目をちらっと他所に向けて、こじけんくんとまた目が合う。
健「エリー、船室戻るん？」
「うーん、特に予定はない、けど」
健「なら甲板行こ。これ持って」
そう言って1本渡されるお水のペットボトル。
残り2本はこじけんくんが持ってて。
健「いやぁ、助かったわ。水重かったから」
「あ、全然いい、けど」
大「あ、こじけん。ユキさん見てへん？」
甲板の方から歩いてきた大晴くんは
少し疲れた顔をしてる。
健「どしたん？」
大「もうキク子さんの介抱無理ってなってん、
そう言えばユキさん見てへんなぁって」
「あ、ユキさんならせ」
健「よぉーし、たいせーこれを持てぃ！」
大「は、え？水？」
こじけんくんが持ってたペットボトルを大晴くんに押し付ける。
健「これより3人で、甲板に向かう」
大「え、いや、俺ユキさん探しに」
健「うるさぁい、黙ってついてこい」
大「は、ちょ待てって！おいこじけん！」
「うわぁ！」
大晴くんと私の肩をがっつり組んで
意気揚々と甲板に向かって行くこじけんくん。
え、酔ってないよね？
すごい勢いで甲板に歩いていくから
急にそんな心配に襲われながらこじけんくんを見る。
健「〜♪」
鼻歌まで歌ってご機嫌そうなこじけんくんに
大晴くんはずっと文句言ってて。
そう言えば結城先輩、船室にいるって言えなかったな。
あとで、いいかな？
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作者名：マリア | 作成日時：2023年9月4日 20時
