◆実は似た者同士のガールズトーク ページ36
・side.Ellie
「ふぅぅ……、」
つい出た息は
ちょっと休憩、の合図。
大騒ぎの甲板を抜け出して
ヘアゴムとちょっとお水でもって
帰ってきたら船室には誰もいなくて。
ひっくり返ったキャリーバッグもあれば
もう寝る準備満々で畳んであるお布団もあるし
本当にみんなバラバラで
でも、みんな楽しみにしてるのはお部屋見ただけで分かる。
楽しいなぁ。
こんなみんなとわいわいする旅行なんて初めてで。
こんな、ザ・大学生みたいなことできるなんて
入学した時は全然思ってなかったのに。
―もしかして、演劇興味あるん？―
あの時、正門先輩に誘われたこと。
きっとあの時から、全部が変わった。
あの日、正門先輩に助けられてから。
ガチャ、
結「誰かい、あ、エリーちゃんだけ？」
「結城先輩、」
ドアから控えめに顔を覗かせてる結城先輩と目が合う。
「どうしたんですか？」
結「ううん、疲れたからちょっと休憩、と思ってね。
エリーちゃんは？」
「あ、……同じく、です(笑)」
結「そっか、じゃあ私も仲間に入れてもらおうかな(笑)」
にこって笑って部屋に入ってくる結城先輩は
いつもはスキニーとかが多いのに
今日は短めのショートパンツで
肌も白くて髪も綺麗で
こういう人が美人って言うんだろうなぁって。
今日も綺麗です。ってこっそり手を合わせる。
結「え、なに？なにか祈った？」
「あ、いえ。今日もお綺麗だと」
結「ふふ(笑)
エリーちゃんってやっぱり面白いね」
「え、いやいやいや。私なんて全然、」
結「エリーちゃん見てたら、『エリーちゃん』って役の
女の子の舞台を見てるみたい」
「え？どういう意味ですか？」
結「それだけキャラ立ってるってこと」
キャラ立ってる……？
私、そんなに目立つようなタイプじゃないのに。
結城先輩をじぃっと見つめても
にこにこ笑ってるだけだし、
見間違い、ではなさそうだけど。
うーん。
結「新入生公演の“のっ子”の設定も、
エリーちゃんに寄せてるうちに
けっこう解釈変わっていったもの」
「あ、確かに、
すっごく脚本の流れ変わったなぁとは思ってました」
結「うん、だってもっとエリーちゃんを
みんなに見てほしくて」
「ふひ、」
そんなにキラキラした目でこっちを見ないでください
結城先輩。
私、そんなおめめで見られるような人間じゃないんです……。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年9月4日 20時
