〇真夏の夜と電話と夢-Green ページ33
・
「……んん、」
23時半過ぎ。
もうちょい勉強したいけど
集中きれてもうたから
「ちょっときゅーけい、」
座りっぱなしでバキバキの身体を
ベッドにダイブさしたらケータイを開く。
あ、大晴くん投稿してるやん。
へぇ、新入生公演代役見つかったんや。
よかったなぁ、ずっとAちゃんと頑張ってたもんなぁ。
「観に来て！」って言ってたし、
受験前やけど行きたいなぁ……。
Aちゃん、何してんねやろうなぁ……
会いたいなぁ。
今日は誰とも会ってないから人肌恋しくて
しゃあないからタオルケットを抱きしめたら、
ポコン、
ん？
だれぇ？
まぁまぁ夜やで？
伏せてたスマホをあげる。
Aちゃん夜遅くにごめんね。晶哉、甘いもの好き?
「え、Aちゃん……？」
大好きなアイコンに胸がときめく。
遠慮とか配慮とかそんなん考える間もなく
ただただ声が聞きたくて
流れるように通話ボタンを押してた。
prrr prrr...
結『もしもし、晶哉？』
あ、大好きなAちゃんの声や。
「Aちゃん。いきなりかけてごめんなぁ」
結『ううん、こっちこそ夜遅くにLINEしてごめん。
寝てた？』
「寝てへん、お勉強頑張ってた」
結『そっか、じゃあ手短にしなきゃね』
「いやや、」
結『え？』
「おはなししよ、今日だぁれとも話してないからさびしかった」
結『あらら、頑張ってたんだね。えらいね』
「うん、やからお付き合いして？」
結『わかった、面白い話ができるように頑張る』
別におもろい話なんてせんでもえぇのに。
俺がAちゃんの声が聞いて癒されてる感じで
Aちゃんも電話耳にくっつけて
俺の声聞いてくれてたらえぇのに。
夏旅行の話とか新入生公演の話聞きながら
そんなん思ってたら
なんかふわふわしてきて。
ちょっとだけ、目ぇつぶってもえぇかなぁ、
「Aちゃん、」
結『ん？』
「おれもっと勉強がんばるから、
うかったら……」
結『え、』
「やくそく、しょ」
結『……分かった、約束ね』
ふふ、ゆびきりせなな。
いっつもやくそくのときは、ゆぅびきぃりげんまんってうたって
そんで、
……
…
・
ふっと目が覚めたら、朝になってて。
あ、Aちゃん！ってLINE開けたら
Aちゃん晶哉おやすみ。約束は合格したらね
え、なに約束って！？って
朝から正解なしの難問を解くはめになってもうた。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年9月4日 20時
