〇ときめきは突然に(前編)-Purple ページ4
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こじけんすまんよっしー。急遽部室に行かなあかんくなった。
そんなLINEが小島先輩から届いたのは
待ち合わせの時間の5分前で、
よっしー分かりました。部活頑張ってください
こじけんほんまにごめん。迷子になったらすぐ言うて
誰が迷子になるんですか、子どもじゃないんやし。
そうツッコんでくすっと笑った。
はずだったのに、
「……この大学、広すぎひん？」
案内板とかもなくて今どこにいるのかも分からんし、
元から小島先輩に案内してもらう前提で
正門じゃないところで待ち合わせしてたせいで
周りに人もいないから聞くこともできなくて。
どうしよう。
このままじゃ体験講義始まっちゃう……。
小島先輩にLINEを送りたいけど、
“急遽”って言ってたし
きっと大事な用なんだろうなって思ったら送りづらくて。
だけど悩んでる間にも刻々と時間は迫ってる訳で。
誰か、誰でもえぇから！
藁にも縋る思いで周りをきょろきょろしたら
遠くに歩いてく人影が見えた。
「す、すみませーん！」
もうあの人しかいない！
全力ダッシュでその人の背中を追いかけたら、
「あ、あの！」
―うわっ！ビックリした……ってあらら、めっちゃ息切れしてるやん。
大丈夫？お嬢さん―
「はぁ、っ、お構いなく。
それよりあの、小講堂ってどこですか！」
―あー、小講堂か。あっこ分かりにくいもんなぁ(笑)
俺でよかったら案内するで？―
「あ、ありがとうございます！
実はあと10分で体験講義が始まってしまうんです」
―え！それは急がなあかんやん！―
「ついておいで」って少し早足で案内してくれるお兄さん。
よかった、親切な人で。
―今日オープンキャンパスやもんなぁ。遠くから来たん？―
「いえ、月見里高校なのですぐ近くです」
―へぇ、月見里かぁ。
うちの部にもいてるなぁ、おもろいのが2人ほど―
「そうなんですね」
楽しそうに笑うお兄さんの顔を改めて見たら
すごくイケメンで今更やけど緊張してくる。
甘い笑顔に整った顔立ち。
ジーパンとTシャツってラフな格好してるのに
どこか垢抜けてて、
―ん？どうかした？―
「あ、いえ！なんでも」
あかんあかん、今はそれどころやないのに。
―ほら、ここが小講堂やで。ほんなら気ぃつけてな？―
「本当にありがとうございました！」
手を振って見送ってくれる先輩にお礼を言って
5分前の受付に駆け込んだ。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年9月4日 20時
