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健「あ、よっしー。向こうにフォトスポットあるから行こうや」
「え？」
そんな映えとか気にするタイプじゃないでしょ先輩
って思いながらもついて行く。
満月みたいに切り抜かれた水槽はくらげの水槽の前で
座って撮ったらいい感じになるらしい。
健「はぁい、よっしーさんお座りくださーい」
「え、何で私なんです？先輩が撮ったらええやないですか」
健「アホ、俺が写ったらくらげが霞むやろ」
「へぇ、私如きが写ってもくらげには勝てないと？」
健「拗ねんな拗ねんな、はよ座って」
散々嫌味たれながらも
いざ座ってみたら
すぐ後ろには綺麗なくらげがふわふわ泳いでて
「綺麗……」
小島先輩そっちのけで水槽に見入ってしまう。
健「……綺麗やな」
「はい、」
健「よぉ写ってるわ」
「え、あ、あぁ、写真の話ですか？」
健「あ、え、あ、クラゲの話な」
「おん、綺麗や」って
なんかテキトーに言うてるでしょ絶対(笑)
しょうがない人やなぁって呆れながら
スマホ見てる小島先輩を見る。
健「よっしー、はい、笑顔」
「え？え！」
カシャ！
健「……目ぇつぶってるやん。もう一回」
「そりゃそうでしょ！」
唐突にカメラ向けられたって心の準備できてないんですから！
全部言ってやりたいけど
もうカメラ向けて画角調整してるから
しゃあなし、今度はちゃんとピースサイン決めて
2人で写真に入る。
健「よし、これでツーショ撮れた」
「え、目標だったんですか？」
健「さっき入り口で撮ろうとしたらたいせー達入ってきたからな。
ここでも撮ろうとも思ってたけど」
「え、えぇ……」
そんなん思ってたんや、小島先輩。
そんなこと聞かされた瞬間、
写真撮るために丸い縁で隣同士に座ってるのが急に恥ずかしくなる。
「大水槽、戻りましょ？ほたるちゃん達とごうりゅ、」
健「あー、待って。それは後でええやろ」
「え？」
健「ほら、」
小島先輩の指差す先で
福本先輩と並んで水槽を見てるほたるちゃんの姿が。
「あ、よかった」
健「よっしーに水族館の話した時から、
ほたる呼ぶかなぁって思ってたんやけどな」
「え、……先輩知ってたんですか？」
小島先輩を見上げたら
ちら、と私を見て目をそらす。
健「分かりやすいやんあんなん。
かわいい“恋する乙女”の代表やで」
「ま、……そうですよね」
色恋に疎い私ですら気づいたんだもの、
意外と人を見てる小島先輩が気づかないはずがない。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年9月4日 20時
