◆〇恋をしてる姿は ページ24
・side.Kiyoka
「お疲れさまでした、先あがります」
―おぉん、お疲れぇ―
まだ半紙に向かってるみんなから頷くだけの挨拶をもらって、
一礼をしてから部室を出た。
お盆も近い部活棟の廊下は
夕方なのにムワッと暑くて
結んでた髪の毛を一旦解く。
そろそろ、髪の毛切ろうかな。
でもリチャ君と花火大会行くならアップにしたいしな。
どうしうかなぁなんて思いながら
階段をカツカツ降りてたら
誠「あ、清風ちゃんや」
「あ、末澤君。今、部活終わり？」
誠「そ、清風ちゃんも？」
「うん、大会近くて遅くなっちゃった」
誠「そうなんや」
後ろから降りてきた末澤君は
少し疲れた顔してて。
「末澤君、大丈夫？」
誠「え？なにが？」
「なにか、疲れてるみたいだけど」
誠「あ、……まぁ、」
「部活やないけどな」って言って笑う末澤君に
なんとなくついて行ったら
踊り場の自販機について。
誠「なに飲む？」
「あ、いやいいよ」
誠「いいから。女の子に拒否られると案外へこむんやで？」
「そうなの？……じゃあ、お茶で」
申し訳ないから緑茶をもらったら
そのまま隣のベンチに座る。
リチャ君といるところに何回か遭遇したことはあるけど
こうやって2人で話すことは今までなくて
少し、新鮮な感じがする。
誠「拒否られるとへこむって、最近分かったんよなぁ」
「末澤君って女の子に拒否とかされるの？」
誠「え、普通にされんで？」
「へぇ……、百戦錬磨の恋愛マスターだと思ってたのに」
誠「え、リチャからどんな噂聞いたらそんなことになるん(笑)」
「いやだって、私とリチャ君が付き合った時も
全然相談とかしてなかったのにお祝いされたって」
誠「あぁ、それは……なんやろうな。
リチャから恋してるオーラみたいなん感じたから」
「恋してる、オーラ？」
誠「そ。なんか、キラキラしてて何もないのに楽しそうで。
うちの部活にもそんな顔してんのが何人かおんねんけど
みーんな恋してる顔は一緒」
「そんなものなんだね」
冷たいはちみつレモンを飲みながら
少し嬉しそうな顔して話す末澤君の頬に汗が伝う。
誠「せやけど、自分のいっちばん近くにおってほしい人の
恋してる顔は、ぜんっぜん分からへんもんやな」
「そう、」
誠「そんな顔せぇへんから、恋なんてしてないって
ちょっと安心しててん。そしたら、」
「恋、してたの？」
誠「……まだ、分からんけどな」
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作者名：マリア | 作成日時：2023年9月4日 20時
