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ガチャ、
結「お疲れ様ぁ……、どうしたの？」
大「あ、ユキさん。お疲れ様です」
結「うん、エリーちゃん大丈夫？」
大「あ、その、新入生公演の代役のことで
エリーどうかなぁって」
結「あぁ、そのことね」
結城先輩がバッグを置きながら困ったように微笑む。
結「どうしても、っていうなら仕方ないよ。
こっちでまた脚本を変えるしか」
大「え、でも後半の主軸って俺ら4人と“のっ子”の話やないですか。
そこバッサリ行ってもうたらもう話変わりますよ？」
結「……しょうがないよ」
眉をさげる結城先輩の顔は悲しそうで。
それはそう。
だって、結城先輩、脚本の話してる時
とっても楽しそうな顔してて、
それだけ、情熱を注いで話を書いてるの分かるもん。
でも、だからこそ、
私みたいなのが
そんな大事な舞台を台無しにする訳にはいかないから。
「ごめん、私、やっぱり、」
良「エリーちゃん」
正門先輩の声がして顔をあげたら
いつの間にか目の前に先輩がいた。
良「不安よな、怖いよな。
分かるで。
何度も舞台立ってる俺らやって
本番は声震えたり、台詞飛んだり
ハプニングばっかりやから。
やから、完璧にやろうなんて思わんでえぇ。
俺らがやり方は教えるから、
あとはエリーちゃんなりにやれば、それでえぇから。
声ガッタガタで震えてるのも演技に見えるくらい
周りがサポートするから。
なぁ、こじけん。大晴？」
健「おう、任せとけ。元々のっ子ってそういう役やしな」
大「俺も初心者やから一緒に声ひっくり返そうや。エリー(笑)」
良「それはあかんで大晴(笑)
結城もエリーがしやすいように脚本作ってくれるって。な？」
結「エリーちゃん、安心して何でも言ってね。
一緒に作るから」
「皆さん……、」
大丈夫かな。
私、また流されてないかな。
目を閉じてドクドク鳴る心臓に耳を澄ませる。
逃げてない？
ううん、逃げちゃだめ。
きっと、逃げちゃだめだ。
「……やり、ます。頑張ります！」
＝よっしゃぁぁあ！！＝
部室中にガッツポーズと大きな声が響く。
そんなに期待されても、私、うまくなんてできないのに。
良「エリーちゃん、ありがとう。
勇気出してくれて」
「はい、」
良「俺も指導入るから、一緒に頑張ろな」
「はい、」
正門先輩がくしゃっと笑って頭を撫でてくれる。
あぁ、もう、
私、どうにでもなれぇ……。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年9月4日 20時
