◆とんだロミオとジュリエット ページ3
・side.Taisei
誠「はぁぁ……、ロミジュリでも観とったん？俺ら」
リ「とんだ猿芝居やったけどな」
爽やかな朝の部室ででっかい溜息を吐く誠也くんと
その隣で呆れた笑み浮かべてるリチャ君。
事件が起きたんは10分前。
オープンキャンパスの午後にやる部活紹介に出るため
何人か集まってた部室に、
いきなりその2人がやってきて……
―私達、部活辞めます！―
誠『……一旦、理由を聞かせてくれへん？』
新入生ん中でも“色んな意味”で目立ってた女子Aが
お供みたいに横に連れた男子Bと言うには、
「真実の愛を見つけた」とかなんとか。
まぁ、ぶっちゃけ最後の方まともに聞いてなかってんけど。
誠也くんの怒ってるオーラの方がヤバすぎて
それどころちゃうくて。
誠『つまり、演劇部にはいられへんってことやな？』
―はい、もう未練も全然ありません！
あと私のことブスっていう人は嫌いです！―
誠『え、そんなん知らん』
―ではお世話になりました！―
誠『あ、ちょっ！……はぁ、もうえぇ』
ハッピーエンド！と言わんばかりに出て行ったお2人さんは
別にどーでもえぇんやけど、
問題は残された俺らのこの空気よ。
誠「……誰やねん、ブスとか言ったん」
リ「えっ、末澤ちゃうの？まっすぐ目ぇ見られとったやん」
誠「今回はマジでちゃう！
そもそも俺あんま喋ってへんし」
リ「あん子って確か正門のファンやった……あ、」
ピンときたリチャ君に
ちょっと遅れて誠也くんも「……正門、」って呟く。
あー、まっさんな。
パッと見そんなん言わんそうに見えるけど
まっさん、意外と怖いとこあるもんな。
特に芝居関係とか。
A子の部活中の態度まっさんが知っとったら
全然あり得ん話ちゃうくて。
誠「……まぁ、正門には後で話聞くとして、
まずは新入生公演からやろ。
大晴、ごめんけどすぐユキに連絡取って。
脚本の確認頼むわ」
「はい、」
誠也くんの指示が出て急いでユキさんに電話かけたら
ビックリしつつもすぐに状況把握してくれて、
結『分かった、終わったらすぐ戻るから
先に台詞とかマーカーお願いしていい？』
「分かりました」
脚本広げて作業始める前に
大学におるはずのこじけんにもLINE送っとく。
今日はよっしー案内するって言ってたのに
秒で『分かった、今から行く』って返ってきて。
なんか、ユキさんにもこじけんにも申し訳なくて辛いな。
これも全部ロミジュリのせいや。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年9月4日 20時
