・ ページ15
・
「何してんすか？」
結「うぅーん……、酔っ払い一門から絡まれないように避難、かな？」
「かくれんぼしてたってこと？」
結「まぁ、そういうことになるね(笑)」
「なら、俺もかくれんぼ一緒にやります」
結「えぇ、大晴くん来たらバレちゃうよ？」
「ならもっと遠くで隠れましょ？」
巾着を握ったユキさんの手を引いて
ブルーシートから離れる。
なんでやろ、連れ出すつもりなんてなかったのに。
自然と掴んだ手は
離されないまま大人しくついてきてくれて、
結「どこ行くの？」
「どこやろ、どこか」
結「ふふ、お任せ？」
「はい、俺に任されてください(笑)」
結「わかった」
引っ張られてたユキさんの手に少し力が入ったなってなったら
結「こっちの方が、歩きやすい？」
横に並んだと一緒に
掴んでただけの俺の手を、ユキさんから繋いでくれた。
結「ごめん、嫌、だったら」
「ちゃう！……そのままでいましょ、」
結「うん、」
場所取りのエリアを抜けて屋台通りに出たら、
もっと人は増えて
それでも、ユキさんと繋いだ手は離れないままで。
「なんか、食べます？」
結「そうだなぁ……、じゃあ、りんご飴」
「え、かわいい」
結「そうかなぁ？
さっき、買いに行くって約束したんだけど、フラれちゃってね」
寂しそうに笑うユキさんの横顔見て
いつの間にか、繋ぐ手に力が入った。
「なら、俺と食べましょ。りんご飴」
結「いいの？付き合わせて」
「いい、ユキさんが好きなもん俺も食べたい」
結「ふふ、ありがと」
寂しそうやった顔が、かわいい笑顔に変わった。
それだけで嬉しくて、
もっと、笑ってほしいなって。
「ユキさん、めっちゃ浴衣かわいいっすね。
『欲動』の時の衣装でしょ、それ」
結「うん。これはリチャ君との激闘の末
キク子が勝ち取った部の備品(笑)」
「え、備品なん？」
結「そうなの。
着ちゃダメなんじゃないの？ってキク子には聞いたんだけど、
『大丈夫、いざとなったら買取もできる』って
聞かないから」
「はは、ルーズやなぁ(笑)
でもええか、ユキさんの浴衣見れたから」
結「大晴くんは浴衣じゃないんだね」
「持ってないんすよ、それとちょっと恥ずかしくて」
結「えぇ？きっと似合うよ。大晴くんなら」
「そう？じゃあ来年は俺と浴衣デートしてください」
結「ふふ、分かった」
よっしゃ、言質取った。
なんて、口約束でも嬉しかったりして。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 142人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マリア | 作成日時：2023年9月4日 20時
