キミに恋するワンシーン！第3章！ (ページ12)

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〇気まぐれに微笑んだりして-Blue ページ12

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20時が過ぎてもう30分もしたら花火があがるって

さっきよりずっと行きかう人も多くなって。

場所取りしてくれた先輩たちに感謝しないとな、って

人混みを見ながら思う。

―うわぁ！キク子何脱いでんねん！―

―もうむりぃ！浴衣なんて着てられへん！―

―やめ、やめぇ！―

……ごめんなさい、途中まで頑張ってたんです。

だけど、もう私じゃ制御できません。

ごめんなさい先輩方！！

怖いもの見たさにちら、とキク子さんを見たら

あ、よかった。

ちゃんと下にショートパンツとTシャツを仕込んでたみたい。

心の底から安心して、

差し入れで買ってもらったたこ焼きを食べる。

いいなぁ、夏って感じだな。

良「えりぃ？」

「あ、正門先輩、」

良「隣、えぇ？」

「ど、どうぞ」

結城先輩との一幕があってから

なんとなく目を合わせづらくてちょこっと身体をどかしてつくったスペースに

正門先輩がきゅ、と詰めて座ってくる。

良「もう無理やぁ……、誠也くん飲ませすぎ」

「顔、真っ赤ですもんね」

良「え、分かるぅ？あかんなぁ、明日バイトやねんけど」

そう言ってる割には楽しそうに笑ってる正門先輩からは

まだ慣れないアルコールの匂いと、少し甘い香水の匂い。

あ、今、隣同士で座ってるんだって

実感し始めて

急に、腕を掠める浴衣の生地や

少しの衣擦れの音にすら、どきどきして。

「お、お酒、強いんですね。2年の皆さん」

良「キク子は誕生日来る前から「飲みたい！」って言うとったしなぁ(笑)

　眞鍋(まなっさん)と俺は去年から飲んでたし」

「え？それって、」

良「あ、ちゃうで！あれ言うてなかったっけ？

　俺もまなっさんも、浪人してんの」

「え、そうなんですか？」

初めて聞いた。

つまり、正門先輩は2歳年上のお兄さんってことで。

いや、だからと言って何か変わる訳ではないんだけど

年上って感じがわっと迫ってきて

あ、じゃあ結城先輩とも1歳差なんだって

そんなことも過ったり。

良「芸能音楽学部(ゲーオン)は出るのも抜けるのも

　無制限やからなぁ(笑)」

「いやいや、皆さん、頑張ってますから……」

良「ちなみに、誠也くんも浪人やで？」

「え、本当ですか？」

良「そ、やから正式には俺とリチャ君が同い年。

　誠也くんは4年生と同い年になるってこと」

「だからあんなに」

威圧感があるんですねってすごくナチュラルに言いかけて

寸でに口をストップ。

あぶないあぶない。