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良「えぇ、まだ会場がざわざわしてるようにも感じますが(笑)

 本日は、第21回七夕公演『欲動』にお越しくださいまして

 誠に有難うございました。……」


いつも通りのまっさんの挨拶が始まって、


健「(大晴、今1人出てった)」

「(え、嘘やん)」

健「(受付戻るぞ、何人かそわそわしてるし)」

「(えぇ、挨拶見たかったのに……)」

健「(あとでビデオ貸してもらお。ほら行くで)」



ちぇ、さっきのアドリブの事とか聞けると思ったのに。


ぐいっぐいに後ろ髪引かれながら

しゃーなし会場の外に出たら、

しーんとした夜のフロアには誰の足音もしてへんくて。



「こじけん、ほんまに出て行ったんやんな?」

健「あれ?確かに扉が開いてんけどな……」


2人で首を傾げてる間に1人、また1人と

ぽつぽつ急ぎのお客さんが出て行って、


会場から大きな拍手が聞こえた後、扉が一斉に開いた。


健「ありがとうございました!」

「ありがとうございました!」


扉を押さえながらお客さんに御礼を言ってく。


中には泣いてる女の子もおって、

まっさんのファンやったんかな?とか思ったりして、


誠「はぁぁ……、まぁた規律委員会に呼び出し決定や」

「あ、誠也くん」


いつの間にか後ろにおった誠也くんは嫌そうに言うてるけど、

しょうみ、めっちゃニヤニヤしとった。


「いいお芝居でしたね」

誠「そうやな。俺もはよ舞台立ちたなったわ」

「新入生公演出ます?」

誠「いや、それは遠慮するけど(笑)」


俺の提案はあっさり却下されたけど

ご機嫌なんか、珍しく頭ぽんぽんしてくれて。


そうこうしとったら役者しとった先輩らも外に出てきて

仲えぇ人と話したり写真撮ったり、

ロビーはまだまだ賑わってるけど、


「あれ……?」


その中にユキさんの姿が見えへんくて

きょろきょろしとったら、


誠「大晴、正門見てへん?」

「いや、俺は見てないです」

誠「紹介したい先輩おってんけどなぁ。

 まぁええわ。

 ぼちぼちミーティング始めるから探してきてくれへん?」

「はい!」


まっさん主役やのにどこ行ってんねん。


誰もいない会場に戻ってまっさんの名前呼んでみるけど

返事もないし、舞台袖にもおらんし。


「えぇ、どこぉ……?」



あ、もしかして搬入口とか?


搬出前やしおらんやろうけど念のため、って

舞台裏の通路歩いとったら、


―……―

―……―


え、誰かおるん?


搬入口の方から聞こえた微かな音に足を速めた。

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作者名:マリア | 作成日時:2023年8月18日 15時

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