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〇夏の予定は照れ屋なキミと。-Yellow ページ32




リ「よ、」

「よ、」

リ「なに?俺のマネしてるん?」


楽しそうに笑いながら覗き込んでくるリチャ君に

照れくさくなって小さく頷いたら、

そそくさと椅子に置いてた荷物を片付ける。


「隣どうぞ」

リ「ありがと」


前期考査が近いからってことで

今日はオープンスペースで勉強会することになって。


周りも似たような学生だらけだけど、

やっぱり夏休み前だからかな?

みんなふわふわしてて

「夏休み遊ぼ」なんて声もちらほら聞こえたりする。


「夏休みかぁ」

リ「清風はなんか予定あるん?」

「大会の準備かなぁ、最後だしね」

リ「そっか。それは頑張らなな。応援してるわ」

「うん、ありがとう」


まぁ、とは言えそればっかりの夏休みっていうのも

私としてはつまらない訳で、


「リチャ君ともどこか行きたいなぁ、」

リ「どっか行きたいとこあるん?」

「花火大会とか、」

リ「あ、もしかして8月頭の花火大会の話してる?」

「うん」

リ「ごめん、その花火大会もう予定入ってんねん。

 『演劇部全員強制参加や』って部長命令で」

「それは仕方ないね……」



申し訳なさそうだけどちょっぴり楽しそうなリチャ君。


まったく、なんやかんやで演劇部大好きなんだから

妬けちゃうよね。


つん、とわざとらしく唇を尖らせてたら

「あ、」って何かを思いついた表情でリチャ君が顔をあげる。



リ「じゃあ、俺の地元の花火大会とかどう?」

「えっ?」


リチャ君の地元って確か、


「京都?」

リ「そう」

「うーん、行くのはいいけど帰れるかな、」

リ「……やったら、泊ればえぇやん」

「え、」


ちら、と恥ずかしそうにこっちを見て目をそらす。


髪の毛のおだんごをしきりにもふもふするのは、

ちょっと緊張してる証拠で。


リ「2人で小旅行的な、」

「うん」

リ「ホテル泊まって、」

「うん」

リ「浴衣着て、」

「うん」

リ「地元案内する、」

「うん」

リ「……で、どうでしょう?」

「……ふふっ、よろしくお願いします(笑)」


そんな、これ以上ない素敵なプレゼンテーションで

初めての旅行は決まって。


リチャ君の地元をリチャ君に案内してもらって

一緒に花火大会に行けるなんて、幸せすぎるから。


「ふふ、」

リ「なぁ、笑わんといてよ」

「だめ、今嬉しいから」

リ「もぉ、なんやねん」


「やめてや」とか言って、リチャ君も本当は嬉しいクセに。


隠したつもりだろうけど、

こっそり笑ってるのバレてるよ?

〇キミと夏とこいこがれ-Red→←・



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作者名:マリア | 作成日時:2023年8月18日 15時

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