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大『よっしーおひさー!俺のこと覚えとるー?』
「当たり前じゃないですか、福本先輩(笑)」
あれからお風呂上がりの福本先輩も乱入してきて
電話だけやったつもりが
「せっかくやしビデオ通話しようや!」になって。
よれよれのパジャマ姿の前に
あざらしちゃんのぬいぐるみをどん!と置くことで
なんとかビデオまで漕ぎつけた。
大『ごめんな、テスト勉強中やったんやろ?』
「いえ、一段落したところだったので」
健『なんやねん、俺が聞いた時は
あんなに「忙しいです」オーラ出しとったクセに』
「それは小島先輩がダル絡みするからです」
健『ふーん、よっしーって昔からたいせーには優しいよな』
急に拗ねた顔してこっち見られても
返事に困ってしまう訳で、
「だって、小島先輩は身内やから」
健『……そう言われると悪い気はせんな』
「え、今のどこに感激のツボあったんですか」
変なところで胸をときめかせてる小島先輩にツッコんだら
福本先輩がいつもみたいに大きく口を開けて笑い出した。
大『ほんまこじけんとよっしーって変わってないな!
夫婦漫才みたいやん(笑)』
健『おい待て、夫婦と呼ぶにはまだうら若いやろ』
いや、ツッコむところそこじゃないと思うんですけど。
仲良くじゃれ合ってる先輩達に心の中でツッコミながら
近況やら話してたら時間が経つのもあっという間で、
大『あ、もうすぐ日付変わるやん』
健『おぉ、ほんまや』
「あっ、長話してすみません。それじゃ」
健『待った!まだ切らんといて、よっしー』
「え、なんで」
大『3、2、1……こじけん、誕生日おめでとー!!』
「えっ、……あぁっ!」
慌てて卓上カレンダー見たら
今日は間違いなく6月25日。
そうやった、小島先輩今日お誕生日やった……!
手帳にはちゃんとメモしてたのにすっかり忘れてて
1人であわあわしてたら、
健『よっしー』
「あ、はいっ?」
健『おめでとうって言ってくれへんの?』
「あ、……お誕生日おめでとうございます、小島先輩」
健『おん。ありがと』
自分から言わせたクセに、
何故かちょっと照れくさそうに
髪の毛をぐしゃってしてる小島先輩を見たら、
無性に小島先輩に会いたなって。
でも、そんなこと絶対言えへんから
代わりにあざらしちゃんをぎゅーって抱きしめる。
「小島先輩、」
健『ん?』
「……プレゼント欲しいですか?」
精いっぱい振り絞った勇気は、やっぱり素直になれないまま。
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作者名:マリア | 作成日時:2023年8月18日 15時