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曰く、“あからさまなジト目”で正門先輩を見てたのは
『欲動』で露子さんと華絵さんを演じてた女優さん達で。
さ、さすが女優さん、凄みが……。
綺麗なお姉さん達の冷たい眼差しに私までドキドキしてたら
その後ろからひょこっと顔を覗かせたもう一人のお姉さん。
良「あらら、結城もおったん？」
“結城”って正門先輩に呼ばれたその人は、
『欲動』の公演の後に声をかけてくれた
あのすごく綺麗なお姉さんで。
結「……大晴くんいる？」
大「えっ、あ、はい！」
正門先輩に返事をしないまま行っちゃった結城先輩に
福本くんがパタパタ駆け寄ってく。
―あーぁ、ユキに嫌われちゃった。ドンマイまっさん―
―ふん、自業自得でしょ―
―カッコいー♡正門先輩♡―
良「なぁ、もぉ勘弁してやぁ……」
誠「全員着席ー、活動始めんで」
さっきのやんちゃな先輩の号令で
わちゃわちゃしてた先輩たちも次々と席についてく。
―ねぇ、そこ空いてる？―
「あ、……はい、」
通路を挟んで正門先輩の隣の席に置いてたバッグを指して
こてん、と首をかしげるさっきのきゅるるん♡な子。
……まぁ、これは隣に座る勇気がなかった私が悪いよね。
なんて自分に言い聞かせながらバッグをどかしたら
「ありがとぉ♪」ってぐいっと隣に座ったから
正門先輩は見えなくなっちゃった。
「はぁ……」
だめだめ、
まだ始まってもないのにため息なんて！
大至急ほっぺをむにゅむにゅ揉んで笑顔の練習をする。
大丈夫、まだ初日だもん。
これからきっとこの子とも仲良くなれるはず。
頑張れ私、負けるな自分。
ファイト、ファイト……！！
誠「えー、今日から新入生が活動に入ってます。
新入生公演もあるし全員気にかけて喋るように。
えぇな？」
―はーい―
見た目の印象とは違って
テキパキと部活の説明を進めてく先輩の言葉を
一生懸命メモしてたら、
―ねぇ、誰ファンで入ったの？―
「え？」
―いやどうせ役者目当てで入ったんでしょ？
言っとくけど私正門先輩推しだから攻めるなら他当たってよね―
「え、あ、はぁ……」
ギラギラしてる女の子の目からそぉっと目をそらしながら俯く。
どうしよう。
やっぱり仲良くなれないかも……。
女の子2人しかいないのに。
部活初日にしてもう大ピンチでお腹までチクチクしてきちゃう。
「はぁ……」
ドキドキの部活デビューは、早くも前途多難みたいです。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年8月18日 15時
