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私と正門先輩を見て「なるほどなぁ」って頷くお兄さん。
うぅ、やっぱり今日もお顔立ちハッキリでイケメン……。
2.5次元の舞台に出てる役者さんみたい。
「あの、その節はお世話になりました」
―いや、別に俺は何もしてへんから。
あの後急にまっさんが女の子らほっぽり出して
嬢ちゃんのこと追いかけて行ってもうたから
その火消しはちょっと面倒やったけど―
「えっ？」
わざわざ追いかけてきてくれたの……？
もう1人のお兄さんと話してる正門先輩を見ながら
むぎゅ、って苦しくなる胸を思わず押さえたら、
―……まっさんはすすめんで？―
「え、」
低い声でそう呟いたお兄さんと目が合う。
―まっさんはやめとき、―
「それは、どういう意味で……」
―泣かされんで？―
私にだけ聞こえるように囁くお兄さんの表情は
ついドキッとするくらい艶っぽくて。
まさか、私の気持ちに気づいて、
―……なんてな、ウソやけど―
「えっ？」
ウソ……？
え、ウソ？
「ど、どれがウソですか……？」
―まぁ、どれがってゆーか全部テキトーやで。
嬢ちゃんが乙女の顔してまっさん見とったから
ちょっとからかいたくなってん。
そもそも俺ここ入ってまだ1ヵ月やから、
まっさんの人となりとか何も知らんし―
「え……、えっ！もしかして同級生なんですか！？」
健「え、反応するんそこ？まぁえぇけど(笑)
社会学部の1年で小島健な。
で、さっき一緒におったんが同じ学科の福本大晴」
「あ、お願いします。小島くん、」
健「“こじけん”でえぇよ、みんなそう呼んどるし。
なんなら“アホ”でもえぇけど」
「え！？いやそれは、」
イケメンをそんな馴れ馴れしく呼べる経験値まだないです……！
フランクな小島くんへの反応にあわあわしてたら、
良「えっ、あれ大晴やったん！？」
正門先輩の大声がいきなり教室中に響き渡って。
大「え、俺やって気づいてなかったん？」
良「うん。逆光で全身影になっとったし、
大晴ってあの日ゆったりしたズボン履いとったやろ？
あれがスカートに見えてん。
やからファンの子が追っかけてきた思って
ビックリさせたろ、と」
大「はぁ！？それでちゅ、……あんなんしたん！？」
「はぁ……」って意気消沈したご様子の福本君が
ふらふら小島君の隣に戻ってくる。
大「……俺、筋トレやるわ。シルエットからムキムキなる」
健「おー、頑張れ(棒)」
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作者名：マリア | 作成日時：2023年8月18日 15時
