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「リチャ君、」
リ「清風、あ、」
名前を呼ぶ声が重なって思わず目が合う。
「お先どうぞ？」
リ「いや、別に大したことちゃうけど……。
今日の舞台どうやったかなって」
髪のお団子を触りながらそう尋ねたリチャ君は
どこかそわそわしてて、
「すごくよかったよ？
衣装の浴衣の柄とかもそれぞれの性格に合ってて、
『あ、リチャ君が悩んでたのはこれだったんだ』って
1人でにやにやしてた」
リ「まぁ、その節は色々お世話になりまして(笑)
あとは？何もない？」
「え、そうだなぁ……」
リ「いや、無いなら無いで全然えぇねんけど」
「どこか部活的に気になるとこがあった？」
リ「いや、そういう訳やない、けど」
ごにょごにょと口篭りながらそっぽを向くリチャ君。
「どうかしたの？」
リ「いや、清風が気にしてへんなら別にえぇねんけど……」
「なに？」
気になって階段の下に先回りしたら、
リチャ君はちらっと私を見て、
リ「……その、色々引いてへんかなって心配やったから」
「え、」
少し恥ずかしそうに顔をそらしたリチャ君に、
あ、もしかしてそういうこと？なんて。
珍しく公演に誘ってくれなかった理由も分かっちゃって、
「……もしかして、ちょっとえ っちなお話だったから？」
リ「ちょ、そんなはっきり言うてないやろ」
「あれ、リチャ君照れてる？」
リ「いや、全然照れてへんけど」
「ウソだぁ」
お団子ずっと触ってるクセに。
優しくてかわいいリチャ君に胸がとろけそうで、
もっと見ていたくって。
「ふふっ(笑)」
リ「もぉ笑うんやめて？怒んで？」
「ねぇ、リチャ君」
リ「何よ」
急にいいことを思いついて
階段の二段下からリチャ君を覗き込む。
「……もっとお芝居の感想言いたいから、
ご飯食べながら話してもいい？」
リ「えぇ？(笑)」
「一緒にそうめんパーティーしよ」
困った顔してみせてるけど
嫌がってないことはお見通しだから。
「だめ？」
リ「……まぁ、別にえぇけど」
「やった！」
嬉しくてついリチャ君の手をぎゅ、って握っちゃう。
リ「清風、学校やで？」
「今日だけ特別。ね？」
リ「はぁ、分かった。特別な」
そう言って指先を絡めてくれたリチャ君。
リ「そうめんパーティーって何なん？」
「いいでしょ、薬味はビュッフェ形式ね」
リ「それは最高やな(笑)」
ゆらゆら手を繋いで降りる階段は
もう少しだけ、2人きりの世界だ。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年8月18日 15時
