キミに恋するワンシーン！第12章！

〇ないしょのミッション-Blue ページ13

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ガチャ、


お昼になるタイミングを見計らって行った

稽古場の扉をそぉっと開けたら、

中ではまだ練習の最中で。


良「“何やねん、データデータって！

　事件はファイルの中で起きてるんとちゃうんやぞ！”」

虎「“そうやってすぐ感情剥き出しになるから

　犯人の思惑に引っかかるんです。

　少しは頭を使ってくださいよ、坂本さん”」

良「“なんやと？沖田お前ッ、”」


掴みかかった正門先輩の眉間にぎゅっと皺が寄る。



良「“ふざけんなよ、この、”」



確か、その続きは“このデータ人間！”だったはず。


だけど正門先輩は虎丸先輩の襟元を握って

何も言わないまま。


あれ？


もしかして台詞が飛んでるのかな？



香「……はい、カット。正門くん台詞飛んだ？」

良「はは、ごめん。そうらしいわ(苦笑)

　次の実技査定の台詞とごっちゃになってもうて」


香坂先輩の指摘にへらへら笑った正門先輩は

なんだか“らしく”なくて、

周りの先輩達もちらっと顔を見合わせる。



だって、いつもの正門先輩だったらまずしないミスだし、

ミスしたとしても“そんな表情”はしない人だから。


なにかあったのかな……？



扉の隙間から先輩達のやり取りをこっそり見ていたら、



リ「そんなところで何してるん？」

「ひゃぁっ！！」


急に声をかけてきたリチャ先輩にビックリして

おっきな声と一緒にドアもバタン！って開けちゃった。



リ「え、そんな驚く？」

「す、すみません……。

　振り返ったらリチャ先輩がいたからビックリして」

リ「それは、なんかごめん」


リチャ先輩に手を引っ張ってもらって立ちあがったら

「何してんねん(笑)」って虎丸先輩たちはけらけら笑ってて、

その奥にいた正門先輩とも目が合ったけど

すぐふいっと顔をそらされた。


日「末ちゃんまだ来んの？リチャくん」

リ「おん、昼飯食うてから来るって」

虎「はぁ！？何を優雅に飯食ってんねん！

　これは後で末澤の奢りで全員にジュース決定やな」

香「まったく……。お菓子もつけてもらいたいぐらいよ」

虎「お、じゃあそれも追加で(笑)

　ほんなら俺らもぼちぼち昼休憩入ろーや、まっさん」


虎丸先輩が振り返っても

正門先輩はぼんやりしたままで、


日「おーい、正門くーん？」

良「え。……あぁごめん。えぇよ、昼行ってきて」

虎「まっさんも一緒に飯行こうや」

良「んー……、俺はいいや」


力なく首を振った正門先輩に先輩たちはまた顔を見合わせた。

・→←◆澱

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