キミに恋するワンシーン！ (ページ6)

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〇まるでソーダみたいな恋-Purple ページ6

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―よっしーセンパイ！お先に失礼しますっ！―

「うん、お疲れ様」

4月の柔らかい夕陽が差し込む部室で1人、

明日の部活の準備をする。

もうすぐ下校時刻だから私も急がないと。

「明日エチュードをするから、これとこれ、と」

いつも通りの確認、やけど

いつもの声が聞こえないことにはまだ慣れなくて。

健『よっしー、まだかかるん？はよせな学校に閉じ込められんで』

『だったら小島先輩も手伝ってくれませんか？』

健『はぁ、よっしーの頼みならしゃあない。

　力を貸したろやないか』

『いや大体部長の仕事なんですよ！？』

……これが当たり前やったのに。

ポッカリと穴が空いたような寂しさを紛らわすように

無心で手を動かした。

奇天烈やけどみんなの人気者だった小島先輩のツッコミ兼お守係。

そんな絶対大変に違いないお役目を

「演劇部副部長」って肩書きと一緒にまるっと放り投げられたのは

去年のことで、

稽古中にアドリブ入れるせいでみんな笑っちゃって

練習が止まるのは日常茶飯事。

部室に遊びに来た福本先輩とコントをやり始めて

全然稽古始められないのもしょっちゅうで

『小島先輩っ！！』

何回そうやって名前を呼んだか。

健『吉澤、吉澤……なら“よっしー”やな』

『私は緑のカメじゃないんですけど』

健「え、カート乗って走らんの？」

『やっふぅー！……って、やりませんから！』

健『あーひゃっひゃっひゃ！

　よっしーノリツッコミとかやってくれんねや(笑)』

『あのですねぇ！？』

からかわれてばっかりで、

健『よっしー、ここの駒井の台詞やねんけどさ。

　もうひとくだり入れたいんよな』

『今から台詞増やすんですか？本番もう明後日ですよ？』

健『そうやねんけどさ。

　でもここもうちょい足さんと、

　最後のメッセージがお客さんまで届かへんちゃうかなって』

『確かに、私もそれは思ってましたけど……』

健『やろ？今から一緒に考えようや』

だけど、演劇には誰より真剣で、

健『銀賞かぁ、えぇ芝居したと思うてんけどなぁ』

『うぅっ、ごめんなさい。小島先輩、最後の大会やったのに、』

健『えー、そんなん気にしとったん？(笑)

　やっさしいなぁ、よっしー』

『……うぅっ』

健『なぁ、もぉ泣き止んでや(苦笑)

　よっしーに泣かれたら俺かなわんから』

大会終わりの部室で泣きじゃくる私を

困った顔して抱きしめてくれた事も全部、

キラキラ弾けるような大切な思い出。