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明らかにほっとした顔で「よかった……」って呟く大晴くん。
待て待てぃ、まさかやんな？
そうやとしたらこれは黙って見過ごせへんよ？
―ユキ、ちょっと手伝ってー！―
結「うん！ごめん晶哉、行かなきゃ。
5分前には会場に入るんだよ？」
「わかった。あ、Aちゃん終わったら一緒に帰れる？
俺1人やったらまた道に迷いそうやねんけど」
結「そっか。ミーティング終わってからだから
ちょっと遅くなるけど大丈夫？」
「うん、待ってるぅ♪」
結「よしよし、じゃあまた後でね」
ごめん、Aちゃん。
ほんまは大晴くんと歩きながら道はだいたい覚えたけど
Aちゃんといたいから嘘ついちゃった。
頭を撫でて行ってもうたAちゃんに心ん中で謝ったら
くるっと振り返る。
さて、問題はこっからよ。
「大晴くん、……Aちゃんのこと好きなんでしょ？」
大「えっ！？え、何急に。俺は全然、そんなことないで？」
嘘つけぇい、ほっぺた赤なってんで大晴くん。
ちょっとかわいいけど。
でも、悪いけどAちゃんは譲れらへんから
ここはちゃんと宣戦布告させてもらわな。
「言っときますけど、Aちゃんは俺のお姫様やから。
大晴くんもそういうつもりなら僕のライバル認定しますよ？」
大「え、ライバルってそんなん」
「手始めに、Aちゃんのどこが好きか聞かせてもらいましょうか？」
これで「顔」って言うたら
さすがの大晴くんでもガッカリしてまうかも。
そういうミーハーなAちゃんファンがいっちゃん大嫌いやし。
何て答えるのか、じっと見とったら
唇尖らせて考えてた大晴くんがすっと顔をあげた。
大「……1番えぇなって思うのは、脚本のこと話してる時かも。
真剣なんが伝わってくるから
そんだけ本気になれるもんがあるって、純粋にカッコえぇなって」
「……ほう、」
よかった、合格やな。
この人なら俺のライバルにとって不足なしや。
―そろそろ開場いたしまーす、―
―たいせー、受付戻れー！―
大「あ、今行く！じゃあ、俺はこれで」
「大晴くん！」
呼び止めた大晴くんに拳を突き出す。
「……負けないんで」
大「……おう、俺もやで。“晶哉”」
コツン、と拳をぶつけた大晴くんの表情はさっきとは別人やった。
なんや、やっぱしイケメンやん。
受付の列に並びながらついニヤニヤしてまう。
“恋のライバル登場”か。
なんかお芝居みたいな展開や。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年8月11日 17時
