★〇“恋のライバル登場”-Green ページ47
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佐野晶哉、まだまだぴちぴち17歳。
そろそろ蒸し暑くなってきた6月に
卸したてバッキバキのデニムジャケット着て、
まったく知らん大学の中で見事に迷子になってるとこです。
「なにぃこの大学……、広すぎひん？」
何個建物あんねん！
この広場もう3回は通ってんねんけど！
Aちゃんから
『鍵番しなくちゃいけなくなって、
お迎えに行けなさそうなんだけど1人で来れそう？』
って言われた時に、
“まぁ来年から俺もお世話になる大学やし？
こんなんちょっと早めのオープンキャンパスや”
とかカッコつけて『えぇよ』って返したあん時の俺ぇ！
しっかり迷子になってんぞ！！
どうしてくれんねん！！
迷路みたいな構内地図見ながら途方に暮れる6時30分。
どうしよ、
このままやったらほんまに間に合わんかも。
髪の毛くしゃくしゃにしながら悩んどったら
遠くに荷物持って歩いとる人が見えて、
えぇい、こうなったら最終手段や！
ってその人の背後めがけて全力ダッシュした。
「あのぉ、すみません」
―えっ、俺？―
「あ、そうですそうです。
あの、ホール棟ってとこに行きたいんですけど
よかったら道を教えてもらえないかなぁと思って、」
背に腹は代えられへん。
ここは人畜無害なトイプードル演じて人に聞いてまえ！
このカッコよくて優しそうなお兄さんやったら
きっと道を教えてくれるはず！
―あっ、俺もちょーどホール棟行くとこやってん！
よかったら一緒行く？―
「え、いいんですか！」
よっしゃ、ラッキー！
これでAちゃんのとこまで辿りつける！
ガッツポーズして改めてお兄さんにお礼言ったら、
でっかい段ボール持ちなおしながら
「えぇよえぇよ！」って人の良さそうな笑顔で言うてくれるから、
ここは恩を返さなってことで、
「よかったらそれ1個持ちますよ」
―えぇの？助かる！めっちゃこれ重かってん！―
ってちっさい方の段ボールをもらったら、
「えっ、おっも！」
こんなん2個持って歩いてたん？
このお兄さんゴリラやん、ゴリ太郎やん。
―もしかして、七夕公演観に来てくれたん？―
「あ、そうです。演劇部に知り合いがいて」
―そぉなんや！え、1年生？―
「いや、今まだ高3です」
―えっ！そうなん？めっちゃ大人やから同級生や思った！―
くしゃっとおっきく口開けて笑うお兄さん。
いや、こんなん絶対いい人やん。
ほんまえぇ人に出会えてよかったぁ。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年8月11日 17時
