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行きつけのご飯屋さんに連れていってくれるらしい誠也くんと
夜道をのんびり歩く。
暗い時間に歩くのはまだ慣れないけど
誠也くんと一緒やったら夜のお散歩も楽しいなぁ、なんて、
誠也くんに言ったらきっと
『こんな時間に1人で出歩いたらあかんやろ』って
心配されちゃうやろうけど。
誠「今日の舞台どうやった？」
「あっ、……よかった、よ？」
誠「なんでそんなカタコトやねん(笑)
え、なんか良くないとこあった？」
「ううん！全然、すごく素敵な舞台やったけど、その、」
誠「ん？」
どうしよ、何て言ったらいいんだろ。
ぐるぐるぐるって頭フル回転させるけど
いい言葉が思い浮かばなくって、
「……恥ずかしかった、」
ぽふ！と熱くなるほっぺを手で隠しながら
そんな事しか言えなかった。
……よかった、やっぱり演劇部入らなくて。
こんな子どもみたいな感想言われても、
誠也くん呆れちゃうよね？
黙ったまんまの誠也くんの顔見れなくて
しょんぼり俯いてたら、
誠「……ずる、」
「え、」
パッ、と顔をあげたら
この前より明るくなった髪の毛をくしゃっと触りながら
誠也くんはふいっとそっぽ向いてた。
「誠也くん？」
誠「いや、Aがよぉ俺に「ズルい」って言うやん。
……なんかそれ、分かった気ぃするわ」
「え？」
どういう意味やろ……？
誠也くんの言葉の意味が分かんなくて首を傾げてたら
ニヤッと意地悪な笑みを浮かべた誠也くんと目が合う。
誠「まぁ、Aにはまだ早いやろなぁって思っとったし、
これで「最高やった！」って言われたら
色々聞かなあかんとこやったから、そのリアクションで安心したわ(笑)」
「え、あっ、やっぱり誠也くん分かってて！」
誠「そら当たり前やん、俺部長やし(笑)」
「ひどい！ズルい誠也くん！！」
私はずっと頭がくらくらするくらいドキドキしてるのに！
やっぱり誠也くんいじわる！
いじける私のほっぺをつまんで
誠也くんがけらけら笑うのが悔しくって悔しくって。
誠「A、こっち向いてや(笑)」
「やだ、」
誠「もー……、ほら」
「きゃっ！」
誠也くんの両手にほっぺたを包まれて
無理やり誠也くんの方に向けられちゃう。
ち、近い……！
至近距離の誠也くんからは香水の匂いがして
心臓がドキドキして、
誠「……ほんま、Aってかわえぇわ」
甘い声でそう呟いた誠也くんは
とろけちゃうような表情でにこっと微笑んだ。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年8月11日 17時
