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健「ほんならまたな、あだっちー」
「うん、おやすみ!こじけん」
「たいせーと待ち合わせしてるから」って
そそくさ行っちゃったこじけんに手を振ってたら、
誠也くんは隣で「ふん、」ってちょっとご機嫌ななめで。
「誠也くん、こじけんのこと嫌いなん?」
誠「えっ?いや、別にそんなんないけど」
「そっか、よかったぁ。
こじけんとはお友達になれそうやったから
誠也くんがイヤやったらどうしよって思っちゃった」
誠「え、あー……、友達、な」
何かごにょごにょ言ってる誠也くんに「?」は浮かぶけど、
すぐ「ほな、帰ろか」って言われて
誰もいない夜の大学を2人で歩き出す。
誠「大学もう慣れた?」
「うーん。まだ授業も始まったばっかりやし、
学校広すぎてよく迷子になってる(笑)」
誠「あー分かるわ(笑)
この大学やたらと広いもんな。で、友達はできそうなん?」
「実はまだあんまり。けど、こじけんとは仲良くなりたいなぁって。
さっきも優しかったし」
誠「……なんかあったらすぐ俺に言いや?」
心配そうに見てくる誠也くんの
そういうところが昔からくすぐったくて、苦しくって、
誠「Aは俺の妹みたいなもんやからな」
ほら、やっぱり。
いつまで経っても誠也くんの中で私は小さい頃のまんま。
一緒の大学行けたら、今の私も知ってもらえるかなって
勉強頑張ったのに。
誠「……まぁ、でもAが同じ大学で良かったわ」
「え、そうなの?」
きゅん、と期待して隣を向く。
誠「近くにおったら何かあっても俺が守ってやれるし、」
「……うん、」
それは、嬉しいけど。
けどそれだけじゃ物足りない私は欲張りで。
誠「また、2人で色々遊びに行けたらえぇなぁって」
「誠也くん……、」
誠「Aは、いや?」
そんなん、分かってるクセに。
誠也くんズルいよ。
「……イヤじゃない。
私も、ずっと誠也くんとお出かけとかしたかったもん!」
私よりちょっとだけ背の高い誠也くんを見あげながら
そう言った私を見つめる誠也くんの表情は優しくて、
「だから、勉強頑張ったんやもん……」
誠「そっか。ほんまに頑張ったな。えらいな、A」
誠也くんがよしよしって頭を撫でてくれるのも
やっぱり“妹やから”だろうけど
それでも嬉しい気持ちは抑えられへんから。
「……誠也くん、ズルい」
この関係が壊れちゃうくらいならずっと妹でいいって
思っちゃうよ。
〇まるでソーダみたいな恋-Purple→←〇“妹みたい”は恋煩いの呪文-Red
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作者名:マリア | 作成日時:2023年8月11日 17時