〇“女心”を教えて。‐Yellow ページ32
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リ「
「……それは難しい質問だね、」
なんとなく一緒に食べることにしてる金曜日のお昼。
食べ終わった学食のテーブルに「はぁ、」って伸びたリチャ君が
いきなりそんな事を聞いてくるから、
「演劇部関係？」
リ「まぁ、ある意味」
「演劇部って大変なんだね、」
リ「おん……」
なるほど。
事情は分からないけど、どうやらリチャ君にとっては一大事みたい。
さて、どうしたものか。
「女心ねぇ、」
リ「例えばやけど、自分の好きな男が着てる服があるやん？」
「うん」
リ「それがどんな柄とかいくらで、どこどこのでって
そんなん気になっちゃうもんなん？
似合ってればえぇもんちゃうの？」
「あー、なるほど」
じっと見てくるリチャ君の口ぶりはちょっと不満げで。
あ、きっとまた衣装関係で何かあったんだなって
1人で納得しながら、
「そうねぇ」なんてもったいつけて考えてみる。
「私はお洒落にあまりこだわりがないから、
相手の服装は似合ってれば何だっていいと思う方だけど。
でも例えば、リチャ君とデートする時は
リチャ君にかわいいなって思ってもらいたいし、
隣にいてお似合いな格好でもいたいし、って
そういう意味でリチャ君の服装を意識することはあるかもね」
リ「……なるほど。
つまり相手の格好が自分にも影響するってことか。
やからあの浴衣はセットや言うてたんか……」
ぼそぼそと呟きながら頷くリチャ君を観察してたら
しばらくして、ふぅ、と息を吐いて、
リ「……予算、見直してみよっかな」
さっきよりすっきりした顔でうーん、と背伸びするリチャ君。
「解決しそう？」
リ「まぁ、ぼちぼち」
「それならよかった」
「トレー片してくるわ」と立ち上がったリチャ君は
さりげなく私の分も持ってくれるから、
そういうところにすぐきゅんとしちゃう私の女心も、
きっと大概だろうけど。
リ「プリンでも買ってこようかな」
「いいね、私もデザート食べよっかなぁ」
リ「じゃあ清風はここで待っといて。俺行ってくるから」
「あれ、リチャ君が選んでくれるの？」
嬉しくてにまにましながら聞いてみたら、
「相談乗ってくれたお礼やから」ってお団子を触りながら
はにかんでるのがかわいくて。
「ふふっ、じゃあ大人しく待ってる(笑)」
リ「はい、待っててください」
本当、リチャ君は私の女心をくすぐる大天才だね。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年8月11日 17時
