◆仁義なき攻防戦 ページ30
・side.Taisei
5月の連休も終わって、
ぼちぼち大学にも慣れてきたある日のこと。
こじけんも俺も3限が空きコマやって、
健「そういや部室って「会議中」の札かかってないなら
いつでも入っていいらしいで？」
「え、そうなん？ならせっかくやし行ってみようや！」
って初部室にワクワクしながら部室棟に行ってんけど、
トントン、
「失礼しまぁ、」
菊「やからここは絶っっ対譲れないんですってリチャ君！！」
リ「そんなん言われてもムリなもんはムリ！！」
菊「せめて8着だけでえぇから！」
リ「減ったつもりか！？1着いくらかかると思ってんねん！」
「えぇ……」
ドアを開けるなり
3年のリチャード先輩と2年の菊好先輩が大喧嘩しとって、
健「……帰るか、」
「おん」
良「待ってお願い行かないでお願い」
喧嘩の仲裁やってた正門先輩に泣きつかれて
しゃーなしこの修羅場の見届け役になってしまった。
リ「20万やぞ！？今年の予算吹っ飛ばすつもりなん？」
菊「そんなんカンパでもやったらえぇでしょ！」
リ「部活でカンパなんかやんな！」
正門先輩曰く、これは一応喧嘩やなくて、
“今度の公演で使う浴衣を買うのに予算が足りなくて、
会計のリチャード先輩に直談判してるとこ”
らしいねんけど、
……まぁ、傍から見たらただの大喧嘩にしか見えへんくて。
結「キク子、しょうがないよ。
20万だなんてさすがにリチャ君も工面できないだろうし」
良「そうそう、どっかで折り合いつけんと
衣装がいつまでも決まらんで？キク子」
菊「ユキぃ……」
泣きべそかく菊好先輩を「よしよし」って慰めるユキさんは
今日もやっぱり綺麗すぎて
つい、ぼーっと見惚れてまう。
「えぇなぁ、」
健「たいせー、鼻の下伸びてんで」
「え、うそっ」
健「おん、嘘や」
「はっ？健ちゃんうっざ！」
健「ぎゃぁぁっ！ちょ、息できんっていたいいたい！」
「ギブか？」
健「ギブ！ギブーッ！」
いつものノリでこじけん締めあげたら
先輩らもなぜか「仲えぇなぁ」ってほのぼのしとって
ちょっとだけ場が和んだ。
リ「若いってえぇなぁ」
菊「私がかけてあげましょか？浴衣を賭けて、いざ尋常に」
リ「え、ちょっと待って。キク子目がイッてんで？」
良「ほらキク子止めやぁ、落ち着いてぇ」
ガチャ、
誠「お疲……え、なに。ここ動物園にでもなったん？」
健「あ、誠也くん」
誠「せめて“先輩”つけよな、小島」
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作者名：マリア | 作成日時：2023年8月11日 17時
