・ ページ27
・
「誠也くん見てっ！お花いっぱい！」
誠「ほんまやなぁ」
「あっ！あっちにフォトスポットあるって！誠也くん行こ！」
誠「はいはい(笑)」
ぐるっと辺り一面に広がる
赤、白、黄色、ピンクやオレンジのチューリップと
雲1つない青空。
まるでおとぎ話の世界の住人になったみたい。
「誠也くーん、早くー！」
誠「A早いって(笑)
迷子になったらどないすんの？」
「もう子どもやないもん！それにスマホだって持ってるし」
誠「あかん。ほら、手ぇ出してみ？」
「手？」
誠「はい、これでよし」
私の手をぎゅっと握って微笑む誠也くん。
「え、誠也くん……？」
誠「これやったらもう迷子にならへんやろ？」
「それはそうやけど、でも」
誠「ほら、はよ写真撮りに行こ」
誠也くんに優しく手を引かれて心臓がドッキドキして。
溶けちゃうかもしれないくらい顔が熱くって。
だけど誠也くんは普通の顔してるから
私ばっかりドキドキしてるのが、恥ずかしくて。
誠也くんはドキドキしてくれないのかな……。
そう思ったら、ちょっとだけしょんぼりしちゃう。
誠「A、」
「なに？うわぁ……！」
フォトスポットだと思ってついて行った先は
チューリップ畑が見渡せるテラスで。
さっきまでのめそめそ気分も吹き飛んじゃうくらい、
「本当に綺麗……」
誠「ここで写真撮ろ？」
「うん！」
誠也くんのスマホの画面に
青空とチューリップと私と誠也くんが映ってて、
すごく幸せな写真だなぁなんて思ってたら、
誠「もっと近くに来て？」
「え、あっ」
誠也くんにぎゅっと抱き寄せられて、
カシャッ！
誠「……ふはっ、Aめっちゃビックリしてるやん(笑)」
笑いながら見せてくれた写真に写ってたのは
顔を真っ赤にした私と笑顔の誠也くん。
でも、しょうがないもん！
だってこんなの聞いてない……！
「誠也くんズルい」
誠「え、何がズルいん？俺なんもしてへんやん」
「そ、そうやけどズルいもん！」
誠也くんにとっては大したことじゃなくても、
私にとっては全部きゅんきゅんしちゃうのに。
私ばっかり悔しくって、
誠也くんをちょっぴり睨んでたら
「ははっ(笑)」って楽しそうな誠也くんがぽん、と頭を撫でてくる。
誠「ごめんって。
向こうにクレープ屋さんあったから一緒に食べよ？」
「……うん、」
こうやってすぐ私の機嫌もなおしちゃうから、
誠也くんはやっぱりズルい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 169人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マリア | 作成日時：2023年8月11日 17時
