〇一番綺麗な花を、一番近くで。-Red ページ25
・
ポコン、
誠也くんゴールデンウィーク、どっか行く?
「えっ！」
そんな素敵なお誘いがきて
退屈だった午後2時が、一瞬で誠也くんにときめく時間へ変わった。
『ここの花祭り有名らしいで』って
一緒に送られてきたリンクを開いてみたら、
「うわぁ、きれい……！」
チューリップの花がカラフルな絨毯みたいにいっぱい咲いてて
近くにカフェもあるし、フォトスポットもあって、
「“デートスポットにもおすすめ”……」
デート、
誠也くんと、デート……
どうしよ、想像しただけでほっぺたがゆるゆるしちゃう。
誠也くんどう?
A行く!!
ハートをだっこした猫ちゃんスタンプと一緒に送ったら、
すぐに既読がついて
「分かった、楽しみやな」って返ってくる。
これがデートかどうかは一旦置いといて、
せっかく誠也くんが誘ってくれたんやもん。
やったら全力で楽しまなきゃ！
「早くゴールデンウィークにならないかなぁ……」
ワクワクする気持ちは落ち着かないまま
スケジュール帳に「誠也くんとおでかけ」って書いて
こっそりハートマークで囲った。
・
誠也くん玄関の前におるから
「えっ、急がなきゃ！」
前髪よし、
メークよし、
お洋服よし！
鏡を見て最終チェックしたら急いでお部屋を出る。
エレベーターで降りる10秒だってじれったくて、
飛び出すようにエントランスを抜けたら、
誠「おはよ、A」
「誠也くんおはよう……！」
車を降りて待っててくれた誠也くんは
帽子にサングラスにピアスにって
カッコよすぎて。
もう胸がきゅんきゅんしちゃって苦しい。
誠「え、何でこっちこぉへんの？」
「だ、だって誠也くんがカッコよすぎて、」
誠「ははっ、なんやねんそれ(笑)
ほら、はよおいで？」
「うん、」
ドアを開けてエスコートしてくれる誠也くんに
ドキドキしながら助手席に座ったら、
綺麗な車の中は誠也くんの香水の匂いでいっぱいで。
こんなの、逆に息できひんかも……。
誠「シートベルトした？」
「うん、」
誠「ほんなら出発すんで？」
「よろしくお願いします、」
誠「はーい(笑)
運転は割と慣れてるしリラックスして大丈夫やで？」
緊張してる私を見て誠也くんは気を遣ってくれるけど。
言えないもん。
誠也くんの匂いに包まれてるのが、
抱きしめられてるみたいでドキドキする、だなんて。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年8月11日 17時
