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健「ってかよぉここにおるの分かったな。
去年の大会で俺がここでサボっとったん憶えてたん？」
「当たり前じゃないですか。
準備時間になっても戻ってこないから本当に困ったんですよ？」
健「はっは、よっしーどえらい顔してここ来たもんなぁ(笑)
『小島先輩！何やってるんですかっ！』って」
「なのに小島先輩は呑気ににコーラ飲んでて、」
健「そぉそぉ、かっこつけて飲んだら
思ったより炭酸きつくて派手にゲップして(笑)
あん時のよっしーのドン引きした顔、忘れられへんわぁ」
「それは忘れてもらっていいんですよ、私は忘れませんけど」
本当は緊張してたんでしょ？
誰にも話してませんよ、2人だけの大事な思い出やから。
健「まぁ、改めてやけど優秀賞おめでとう」
「ありがとうございます」
健「けど、まだまだやれるやんな」
「はい、」
健「今年の秋文祭、金賞狙ってんねやろ？」
「……はい。去年みたいな結果には絶対、」
小島先輩の最後の大会を金賞で終わらせてあげられなかった。
それは私の1番の後悔で、
あの時の悔しさで手に力が入ってしまう。
健「去年みたいな、ねぇ……。
あんま気負わんでもいいけどな。
あの時の演技は最高やったって俺は今でも思うてるし。
それよか、よっしーを泣かせたことの方が俺は心残りやわ」
「え、私？」
初めて聞いた小島先輩の告白にビックリして顔をあげたら
すぐ目の前に小島先輩がいて、
ちょっと細めた目でじぃっと私を見つめながら、
健「やっぱよっしーには笑っててほしいやんか、」
「小島、先輩……」
そんな優しい顔して、
優しい声して、
なんで、そんな事言うんですか……。
これ以上何か言ったら、
ドキドキしてるのが小島先輩に伝わっちゃいそうで
唇をきゅっと噛む。
健「俺ももっと頑張るから、何かあったらいつでも俺のこと頼って。
な、よっしー部長？」
「……分かりました、小島先輩」
それしか言えなかった私の頭をくしゃっと雑に撫でて、
小島先輩は「じゃあ、またな」って離れてく。
健「あ、よっしー」
振り返った小島先輩は高校の時と同じ笑顔で、
健「手すりに置いてるコーラ、よっしー用やから。
じゃ、片付け頑張りや」
「あ、……忘れてた」
手を振る小島先輩の背中を見送ってから、
立てかけてあったコーラを取る。
「……もう少し、休んでから戻ろうかな」
まだ、恋心がパチパチ弾けて苦しいから。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年8月11日 17時
