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人のえぇ笑みを浮かべながら
ひらひら手を振った“正門”って呼ばれた先輩に
少なった女子達が急にそわそわし始める。
まぁ、確かに男前やねんけど、ちょっと遊び慣れてそうちゃう？
とか思っちゃうんはただの嫉妬やったりして。
良「ほんなら改めてこんばんは。
誠也くんと同じ
庶務をやってます正門良規と言います。
基本は役者やねんけど音響もちょこっとやってて、
今日はお休みの音響セク長の代打ってことで
どうぞよろしゅうお願いします」
―正門先輩やって、―
―えぇ、うちファンになりそう―
女子達の色めき立つ声が聞こえる中、
壇上の先輩らはきょろきょろしてて。
誠「あれ脚本は？巽おらんやん」
良「え、たつさん今日ガイダンスや言うてましたよ」
誠「はぁ？アイツ何で報告せぇへんねん……。
あー、ほんなら“ユキ”あがれる？
ちょっとだけ、名前だけでえぇから」
申し訳なさそうな末澤先輩の手招きされて
壇上にあがってきたその人の姿に、
「えっ……」
一瞬、ほんまに時が止まったと思った。
綺麗な長い黒髪
抜群のスタイル
ちょっと緊張ぎみにはにかみながら
伏し目がちに微笑むんがめっちゃ美人で。
結「えっと、こんばんは。
お休みの脚本セクション長の代打で失礼します。
文化言語学部日本文化学科2年の結城Aと言います。
みんなからは“ユキ”って呼ばれてます。
どうぞよろしくお願いします」
あかん。
この人、めっちゃタイプや。
誠「ほんまは巽って3年のがおるんやけど、
脚本は今2人しかおらへんから要募集中やんな？」
結「はい。興味があったらぜひ」
健「へぇ、あんな美人おんねやったら俺も脚本行こっかなぁ。
高校ん時も脚本イジッとったし。
なぁ、たいせー。……たいせー？」
「……ずっと見ときたいな、」
健「はぇ？」
壇上から降りてく華奢な後ろ姿を目で追ってまう。
結城先輩、か。
心の中で呟いた名前に、ビビッ！って何かが反応してて。
……よし、決めた。
説明会が終わった瞬間、
こじけんほっぽり出して末澤先輩に駆け寄る。
「あのっ！入部届もらっていいですか？」
健「ちょ、たいせー急にどうしたん！？」
明らか戸惑ってるこじけんの横で
必要事項を走り書きして、
「これ、お願いします！」
誠「はっ！？」
これが、俺の長い一目惚れの始まりやった。
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作者名：マリア | 作成日時：2023年8月11日 17時
