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そもそもAちゃんは俺にとって大切な幼馴染やったけど、
ずっと特別なお姫さまでもあった。
仲のえぇお隣さん家の1人娘やった
かわえぇAちゃんの王子様になりたくて
Aちゃんの好きやった劇団のオーディションを受けたら
奇跡的に受かってもうて。
初舞台を観に来てくれたAちゃんが
「まぁくんカッコよかった！」って言ってくれた時は
稽古が鬼ほどキツかったこともぜーんぶ忘れて抱きついてた。
俺のうたも、おどりも、おしばいも、
「すごい！」って褒めてくれるAちゃんが大好きで
大人になったら絶対、Aちゃんと結婚する！
そう思ってたのに、
小学校を卒業するタイミングで
Aちゃん家族は他所に引越すことになって。
晶『Aちゃん、なんで、なんっ』
『ごめんね……、晶哉』
晶『遠く行っても、俺のこと、うぅっ、忘れんといてね……』
『うん、忘れない。指きりしよ？』
そん時の指きりを忘れられへんままやった高2の春。
「Aちゃんが大学でこっちに帰ってきてるらしい」って
おかんの噂話を聞いて居ても立ってもいられず、
お手伝い3か月分と引き換えに
Aちゃんの入学した大学を教えてもらって。
もしかしたら会えへんかなぁ、って
今の顔も分からんのにストーカーみたいに
大学周辺をふらふらしとったら、
『もしかして、晶哉？』
ってAちゃんの方から声をかけてくれた。
そん時は「ほんまに運命や」って胸がドキドキして。
止まってた時計の針がまた進みだした気がした。
……まぁ、ほんまはお互いのおかん同士が裏で繋がってて
「晶哉が会いたがってるから遊びに行ってあげれば？」って
俺の顔写真まで見せて再会をお膳立てされとったって話を
後々、Aちゃんから教えてもらってんけど。
けどえぇんよ。
こうやってまたAちゃんの隣に居れるんなら、何でも。
晶「ところで6月の公演ってAちゃんの脚本なんやろ？
俺も観に行きたい」
「えっ？(笑)恥ずかしいんだけどなぁ、」
晶「絶対行きたい！いつやったらえぇの？」
「うーん、ちょっと待ってね。確認してみる、」
はにかみながら手帳を開くAちゃんにとって
俺はただの幼馴染かも知らんけど。
待っててな、きっとすぐに追いつくから。
離れてた分までいっぱい“好き”をプレゼントして
いつか、本物の王子様になってみせるから。
やからもうちょっとだけ、先に行かんと待っててな？
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作者名：マリア | 作成日時：2023年8月11日 17時
