・ ページ11
・
ど、どうしよう、
私、なんで知らないお兄さんと手を繋いでるんですか……！？
こんな少女漫画の王道みたいなシチュエーションが
現実にあり得るなんて、
しかも、私が所謂ヒロインになるなんて、
絶対絶対何かの間違いだもん！！
賑やかな新歓ブースを歩きながら周りをチラチラしてみるけど
みんな普通にスルーしてるし、
こ、これが大学生の常識ですか？
恋愛偏差値0以下の私にはもうキャパオーバー寸前です……(泣)
このままついて行ってもいいのかな……、って
前を歩くお兄さんをこっそり観察してみるけど、
ふわふわの茶色い髪の毛に春っぽいデニム姿は至って普通だし。
いやいや、だけど「人は見かけに寄らず」っても言うし。
「うーん……、」
お兄さんが王子さまか怖い人かは結局分かんないまま、
？「はい、到着」
「えっと、ここは……？」
？「変なとこ連れてくより健全や思って。
バイブ椅子やけどゆっくり寛いでもろてえぇから」
く、くつろぐって言われましても。
隣のおっきな立て看板には
「演劇部!!!!!!」って堂々と書いてある訳で。
これって、つまりやっぱり勧誘なんじゃ……？
「あっ、あの、私、」
？「ん？」
くるっと振り向いたお兄さんと初めて目が合って、
「え、……」
アーモンド型のくりくりした瞳に
ぽてっとした柔らかそうな唇。
「キラキラキラーン☆」って効果音が聞こえてきそうなくらい
カッコいいお顔に見つめられて、
どうしよう、心臓がドキドキする。
やっぱり、お兄さんは“王子さま”だったんだ……。
？「おーい、大丈夫？」
「え、あ、ごめんなさいっ。ついボーっとしてて、」
いけない、しっかりして私！
助けてもらったんだからまずはお礼をしないと。
ぺしぺしほっぺを叩いて邪な気持ちを吹き飛ばしたら、
改めてお兄さんの方を向きなおる。
「先程は助けていただいて有難うございました。
本当に、困ってたのですごく、助かりました」
お礼を言って深々とお辞儀をしたら、
「あらら、そんなご丁寧にせんでもえぇのに」って
お兄さんの声はくすくす笑ってて、
？「よかった。お節介やと思ってんけど
うちの部員も捕まったことあったからほっとけへんくて。
……怖かったやろ？」
「ちょっとだけ。でも、もう大丈夫です」
？「そっか、ほんならよかった」
にこっと微笑んだお兄さんに胸がきゅん！ってして、
どうしよう、こんなの自分じゃないみたい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 169人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マリア | 作成日時：2023年8月11日 17時
