【オープニング】これが一目惚れってやつ？‐Orenge ページ1
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―えー、今日は演劇部の部活説明会に来てくれて
ありがとうございます。
ぼちぼち人数も揃ってきたことやし、今から始めよ思うけど―
健「なぁなぁ、たいせー」
横から声かけてきたこじけんが服を引っ張るから、
ぺしっと手を払う。
「もう何やねん。この服買ったばっかやねんから引っ張らんといて」
健「なぁ、あの人めっちゃイケメンちゃう？」
「え？あぁ……やなぁ、」
そんなん言うタイプちゃうのに
珍しくこじけんが認めた「イケメン」とは、
教壇に立ってるちょっとちっさめの明るい茶髪した先輩のことで。
確かにチャラそうでカッコえぇけど、
それやったら前におる先輩ら全員カッコえぇやん。
やっぱ演劇部って華あるよな。
テンションあがってるんか
「えぇなぁ」って何回も呟くこじけんの声聞きながら
ぼーっとそんなん思ってた。
別に入部希望ちゃうしな。
元々高校で演劇部やったこじけんから
『今日一緒見学行かへん？たいせーどーせ暇やろ』
って割と失礼めに誘われて
まぁ、暇やしえぇかってついてきただけやし。
けど来てみたら大教室の半分くらい席が埋まってたから
ちょっとビックリで。
しかも7割くらいは女子やし、これってつまり、
「……顔やんな」
健「ん、何か言うた？」
まぁ、あんだけカッコえぇ先輩いてたら
出会い目的の女子も当然いるやろな。
ワンチャン俺もモテ目当てで入ろっかな(笑)
こじけんには悪いけど
そんなチャラいことしか考えてへんかった。
・
「えぇー、水木金部活ってけっこう多ない？
時間も放課後から3時間みっちしあるし。
土日もやる時あんねやろ？バイトできひんやん」
健「たいせー、演劇とはそーゆーもんや……」
「何カッコつけてんねん(笑)」
ドヤ顔してるこじけんの頭は軽くこづいといて。
ほんまにしっかりした部活動なんやな。
大学の部活ってもっとゆるゆるで飲み会とかばっかや思ってたのに。
それに、あのチャラそうやった先輩も言うとったしな。
―今日たくさん来てくれてるけど、正直ミーハーいらないんで。
俺ら、本気で芝居やりたいから。
そういう覚悟のある人だけ入ってきてください―
あの台詞のおかげで7割おった女子中の9割はいなくなって
出会いも何もなくなったけど。
……けど、あん時の先輩カッコよかったな。
本気でやりたいことがあるって、えぇな。
―休憩終わりー。後半いくから席戻ってくださーい―
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作者名：マリア | 作成日時：2023年8月11日 17時
