キミ、カオル。I【すとぷり】

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地下にある空き部屋。


私は右手に持ったナイフを思いっきりターゲットに向かって振る。



「もっとコンパクトに。無駄た動き削って」



ターゲットことナイフの先生さとみくんからの声に必死に身体を動かす。



「ほらほら、そんなんじゃ俺には当たらんよ」



どんなに振ってもするりとかわされる。



「相手の癖を知って、予想して動くことを意識して」



相手の癖。


さとみくんは右に避けた時重心バランスを崩しやすい。


だから、必ず次の一歩を左に踏み出してバランスをとる。



左。



左。



左。





右っ！



さとみくんが右に避けた瞬間。


間髪入れずに左へナイフを繰り出す。


さとみくんが左に踏み出す。




━━━━━━━貰ったっ！




瞬きした次の場面。



私の振ったナイフは中を舞っていた。



今の一瞬でさとみくんは私のナイフを弾き飛ばしたのだ。


バランスを崩してよろけた私をさとみくんが抱きとめてくれる。



「はい。ざんねーん」



弾き飛ばされたナイフが地面に着いて大きく跳ねる。


ナイフと言っても練習用のゴム製。



「疲れたー！」



私は体力の限界が来て座り込んだ。


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