キミ、カオル。I【すとぷり】

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やる気なさそうにジェルくんが答える。


「あー昨日来た人ね。社長令嬢と結婚出来ることになったから今の彼女と別れたいっていう……」


「そーそー。そんな最低な依頼やる気出えへん…」


「まぁまぁ、ジェルくんならパパッと落として終わらせられるでしょ」


「そやけど……」


凄い、本当になんでもやるのかとちょっと感心してしまう。


「別れさせるってどうするの？」


隣に居るさとみくんに尋ねる。


「あーえっと。ジェルが依頼人の彼女落として浮気させてそこに依頼人に来てもらって……みたいな」


「簡単に言ったらハニートラップやな」


「ジェルくんはハニートラップ担当なの？」


「そーそー。俺とさとちゃんがハニトラ担当やで」


なるほど。


こんな大人な雰囲気のイケメンに迫られて落ちない女の人はそう居ないだろう。


「Aにもハニトラやって貰うよ」


「…………えっ。」


いきなり爆弾発言を投下してくるなーくん。


「いやー本当に困ってたんよねー」


「俺ら女の子のメンバーいなかったから、その手の依頼が来たら誰かが女装してやるしかなくて……」


ころんくんと莉犬くんがしみじみと話す。


この2人がきっと女装してハニトラをやらされていたのだろう。


「今日、暇なのは……」


さとみくんが楽しそうに手を挙げる。


「はーい」


「お！ちょうどいいね！」


━━━━え、まさか……。


「じゃあ、さとみくんにマンツーマンでハニトラ教えて貰ってね」


━━━━ですよねー。


「A、よろしくー」


さとみくんがいたずらっぽい笑みを浮かべる。


「さとちゃん、手加減してあげなよ」


「分かってるよ。ジェル」


━━━━手加減とは……？


「……あ、えっと、お手柔らかに……」


私の小さな呟きにさとみくんがクスッと笑って私の耳に囁く。


「手取り足取りやさーしく教えてやるよ」


バッと距離をとって耳を抑える私。


それを見たさとみくんがまた、楽しそうに笑った。


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