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命乞いを続ける義父。
「頼む、やめっ…助けっA……助けろっ」
「お前はっっ!彼女が……やめてって、嫌だって言った時どうした?」
初めて男から発せられた声。
「やめたか?彼女の声を聞いたのか?」
義父が押し黙る。
男は握っている銃を義父の口に突っ込む。
「自分がした事は自分に返ってくるって……小さい時習わなかったか?」
その言葉を放った一瞬ものすごい殺気が男から溢れる。
そして、義父が気絶した。
「はぁ〜根性ないなぁ」
さっきまで人を気絶させるような殺気を放っていた男は慣れた手つきで銃をしまう。
そして私の事を振り返った。
目が合ってビクリと体を震わせた私を見て彼は悲しそうな優しい笑みを浮かべる。
「ごめんね。怖がらせて」
さっきの殺気が嘘みたいな優しい声。
「近くに行っても大丈夫?」
声が出せなくて小さく頷いた。
少しづつ近づいてくる足音に怖くなって俯いて目をつぶる。
目の前に止まる人の気配。
固まって動けない私を不意に苺の香りが包んだ。
「えっ……」
「俺のジャケットでごめんね」
上半身、下着姿だった私にかけられたジャケットはまだ少し彼の温もりが残っていた。
恐る恐る顔を上げて彼と目わ合わせる。
「良かった……顔に傷がなくて」
━━━どうして。そんなに優しい笑顔を向けるの?
「……ずるいです。弱ってる女の子に優しくするなんて」
ボロボロと溢れる涙。
「えっえっ、嫌だった?ご、ごめん!」
わたわたと焦る彼。
「……真に受けないでください」
そう言って笑う私を見て、彼が少し目を見張った。
そしてまた、ふわっと優しい笑顔になり私の前に跪いた。
月明かりに照らされて彼の胸元で何かが
「俺と一緒に行こう?……
恥じらい混じりに手を差し伸べるキミはさながら王子様。
苺の香りを身に纏う優しい王子様。
名前も知らないキミを信じてみてもいいと思えた。
差し出された手を強く握る。
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私の時を動かして。
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この地獄から私を連れ出して。
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苺のように甘い夢を見せて。
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━━━━━━━━━ねぇ。
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チョコ - 更新ありがとうございます! これからも応援してます(*´ω`*) (2020年12月7日 23時) (レス) id: b8ba54da77 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだ属性の餅(プロフ) - びぇぁああ返信ありがとうございます(´;ω;`)見習い編…とっても面白かったです!続きがとても楽しみです〜(●´▽`●) (2020年10月28日 0時) (レス) id: 2a0d204488 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - 入社試験という発想はなかったのでびっくりしました! さすがさなぎ。さん...! これからも応援してます〜!(*´∀`) 主様のペースで頑張ってください! (2020年10月21日 22時) (レス) id: b8ba54da77 (このIDを非表示/違反報告)
片儺木伊織 - 2回目のコメント失礼します!!相変わらず面白くてまばたきするのを忘れて見入ってしまいます(*^ω^*)いつも楽しい作品をありがとうございます(*^^*) (2020年10月9日 23時) (レス) id: dc1c869370 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだ属性の餅(プロフ) - 夢主ちゃんがどんどん成長していく姿がとても素敵です…!すとぷりの皆さんもかっこよくて可愛くてもう吐血してしまうほど尊いです(●´▽`●)これからも応援してます〜! (2020年10月9日 17時) (レス) id: 2a0d204488 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さなぎ。 | 作成日時:2020年9月8日 19時