なにかと推しに避けられるんだが

三十一 ページ34

「綺麗だね！似合ってるよ、Aさんに！」

「青色も入っているから、水だけに特化してるわけではない、ということかもしれませんよ？」

「...気にしなくて良いと思います」

「ありがとう三人とも...」


皆、自分らしく褒めてくれる。

義勇君は“気にしなくて良いと思います”だけだが、半年近く一緒に居たから、何が言いたいかくらいは分かるようになっている。

恐らく
「気にしなくても、個性らしく良い」
みたいな意味だと思う。

...また忙しいなるから、少し寂しくなった。ので、三人同時にギューッと抱き締める。
きちんと抱き締め返してくれて、嬉しくなる。


「手紙送るから、頑張ってね」

「はい。...きちんと、隣に立てるまで成長します」

「うん......」


錆兎君は、前を思い出させるようなことを言ってきて、少し顔が赤くなった気がする。熱い。


「絶対、絶対帰ってきてね！？そうしないと...怒るから！」

「絶対帰ってくるよ。...絶対」


真菰ちゃんとは、指切りをして、もう一度ギューッと抱き締めて終わった。


「......」

「行ってくるね、義勇君」


ぽんぽんと頭を撫でてやると、浮かない顔をあげて、心配そうにこちらを見てきた。

大丈夫だよ、と安心させるように笑顔を浮かべる。


「鱗滝さん、いってきます」

「行ってこい、待っている」

「ええ！」


逆に、ぽんぽんと頭を撫でられ、思わず笑顔を浮かべてしまう。
ここから離れるとなると、寂しさが湧いてくる。行きたくない、と思ってしまった。

背中を向けて、この場所を後にする。

降りる間に、鱗滝さん達との思い出がよみがえってきて、懐かしくなった。

最初に会ったのは＿＿

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