なにかと推しに避けられるんだが

十九 ページ21

「あと一週間...あと七日...ううぅ」

「...そんなに不安なら、滝にうたれてきたらどうだ」

「そうしようかな......そのついでに呼吸の練習もしてきま〜す」

「行ってらっしゃい！」

「真菰ちゃんも素振り頑張ってね...」


まさしく、“不安”が似合っているAさんは、ふらふらとした足取りで滝の付近に向かっていく。

素振りをしようかな、と思ったが、自分の兄弟子に聞きたいことがあったのをふと思い出した。

今は鱗滝さんも、兄弟子二人も居るので、丁度良いと思った。


「錆兎さんと義勇さんは、Aさんのこと嫌いなの？」


私は二人の居る前で鱗滝さんに聞いた。

私がそう思ったのは、あの二人がAさんと接触していないからだ。
するとしたら、アドバイスを貰うときくらい。

Aさんも避けているような気がしたし、どうなのかなと思う。

...あれ、何この空気。

ただただ、無言の空間が続いていて、私の声が聞こえていなかったんじゃないか？と疑うほど。


「真菰、あの二人は好いているぞ、Aのことを」

「え？...じゃあ、なんで＿＿」

「う、鱗滝さん！」

「言わないで下さい、俺達の事情です！！」

「む...分かった。が、このままこじらすなよ。......最終選別に行くからな、もしかしたらというのがあるかもしれん」

「...鱗滝さん、最終選別って、具体的に何するんですか？」


錆兎が、痺れを切らしてそう告げた。

最終選別。そう、Aさんくらいしかその内容を聞かされていないのだ。

聞いたことあるのは、それを抜ければ鬼殺隊員になれるということだけだ。


「......その日になったら、言ってやる」

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