なにかと推しに避けられるんだが

九 ページ11

「お赤飯美味しいぃ...！」

「...全部食う気か？」

「なっ！食べません〜！！」


鱗滝さんは、私のことをブラックホールとでも思っているのだろうか。
流石に、全部は食べません。というか、食べれないよ！！

お赤飯美味しい。

けど、錆兎君と義勇君は浮かない顔をしていて、会話に入ってこない。


「二人ともー？」

「ぁ、はい！呼びました？」

「......なんでしょう」

「いや、大丈夫？なんか元気が...あ、疲れたのか！」

「そ、それもありますけど」

「.....」


歯切れが悪い。

どうやら、言いにくい事らしく、目が泳いでいるし、口をパクパクしている。特に錆兎君。
いや、錆兎君しか口をきいてくれていないのだが。

いや、もしかしたら、本当にもしかしてなのだが。


「ここに居ちゃいけない、とか思ってる？」


ビクッと、肩を揺らした。

当たり、なんというか、感のようなものだが、当たった。
私は二人のことを家族のように思ってる。

そう言おうとした刹那、声を発したのは私では無く、鱗滝さんだった。意外。


「儂は、弟子に来た人達を家族のように思っている。Aもそうだ。

だから、お前たちも家族、そう思ってくれて良い。思いたくなければ良いが」

「そ、んな訳！」

「思いたい、です......」

「はは、それをいってくれて良いのに！」


今日、たった何時間を過ごしただけだけど、それでも私達の仲は深まった気がする。

この空間が、とても愛おしい。

...この空間が、ずっと続きますように＿＿

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