4、謝花さん ページ5
カナヲside
私が話し終えると、ちょうどお昼休みの終わりを知らせるチャイムが鳴った。
「帰ろっか。」
私達はお弁当を持って立ち上がった。
でも、途中で止まってしまったんだ。
何故なら、菫組に向かう途中の廊下が、男子生徒で埋め尽くされていたから。
「きっと、謝花さんだわ。」
謝花さんというのは、謝花梅さんの事。
高校一年生。お兄さんの妓夫太郎さんは、三年生で、私たちの先輩。二人とも、バイク登校。頻繁に揉め事を起こしていて、炭治郎ともよく衝突する。学園随一の不良なんだけど、梅さんの方は美人で、学園三大美女(っていうのがあるらしい)の中の1人。一日に二十人に告白されるっていう大記録を作り上げた本人なんだ。彼氏がいないっていう噂で、お兄ちゃん一筋。
きっと、告白したい人達がいるんだ。
「もうっ、邪魔!」
アオイが怒鳴っても、誰も退きそうにない。
「ちょっと!授業始まるわよ!」
アオイはむしゃくしゃして、頭を掻き毟った。
「アオイ、髪の毛。」
私は怒りが爆発しそうなアオイの髪を直した。
「おい!テメェら、邪魔!とっとと退けや!」
梅さんだ。梅さんも、迷惑してるよね、きっと。
「授業始まるっつってんだよ。これでも退かない奴ら、一発食らわせっからな。」
妓夫太郎先輩だ!
妓夫太郎先輩の1発は、恐い。凄く、痛いんだもの。
すると、皆がそれぞれのクラスに散り、私と謝花さん達だけになった。
私とアオイは真っ青になった。
二人を通り過ぎないと、クラスには入れない。でも、恐いんだ。
「よっ、食堂屋と華道部。」
食堂屋はアオイで、華道部が私、多分。
でも、話し掛けられたってことは、喧嘩を売られた?!
「お前らも、迷惑してんなァ。邪魔だよなァ、アイツら。でも、梅が可愛いって事だよなァ、梅。」
うん、今日もラブラブです事。カレカノでも無いのに。
「勿論よ!華道部、アンタも学園三大美女に入ってるんだって?それで、調子こいてるんだろ。でも、一位はアタシだからな!」
はぁ、なんか私に敵意むき出しですね。
私って、学園三大美女に入ってるの?
助けを求め、アオイを見ると、コクリと頷いた。
「次の時間数学じゃん。不死川センコーまじうぜぇ。」
ブツブツと悪口を言いながら私たちの脇を通り過ぎた。
私とアオイは顔を見合わせ、ホッと息をついた。
すると、開始五分前のチャイムが鳴った。
ヤバい、次美術だ!
私達は美術室に向かって走った。
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作者名:練乳いちご | 作成日時:2021年8月21日 15時