2、近付いてきた文化祭 ページ3
カナヲside
あれから十分ほどで学校に着き、私達が門を通ってちょっと経った後。
「すみませぇーん!」
という叫び声がした。
嗚呼、炭治郎だ。
私たちは直ぐに納得した。
彼が着けているのは、親の形見のピアス。毎日校門に立っている、竹刀が相棒化してきた冨岡義勇先生に謝りつつ、先生が振ってくる竹刀を避ける。
それに当たらなくたって、一日中休み時間さえあれば追いかけっこだ。
休み時間は必ず廊下から走る音が聞こえる。
アオイと真菰は苦笑いをして、禰豆子はなんとも言えない表情。私はというと、無。
だって、いつも見てるから。そんな事に反応したって何も起こらないでしょ?
「それじゃあ、私達はここで。また放課後」
中等部棟と高等部棟の前で別れてから、私たちは昇降口に向かった。
「今日って、三限目に文化祭の出し物についての話し合いがあるよね。カナヲは何がいいと思う?」
近付いてきた文化祭。二学期が終わると準備が始まって、十月の終わりにある。
「私は、リアル脱出ゲーム。脱出できた人とできなかった人で、賞を分けるの。」
参加賞じゃなくて、ここのパンフレットとか、本の栞を作ったりとか。
謎の解説ブックみたいなのを作ってもいいけど。
私が説明を終えると、アオイが感嘆の声を上げた。
「カナヲ、いつからそんなに···!」
私は、身寄りのない子供の一部。昔はやれって言われた事しかやらないし、頼まれた事は断らない。陸上部の練習試合も、野球部のマネージャー体験も、バスケ部の選手も。
色々な事をやってきた。
でも最近、しのぶ姉さんが、
「そんなに沢山の事をやっていたら、カナヲが疲れちゃうわ。華道部一筋にしなさい。」
というので、最近は断っている。断ると皆ちょっと顔を歪めて、「残念。でも都合があるもんね。」と未練がましい目をして言う。
それでも皆全然諦めがつかなくて、次の週には同じことを頼まれる事も多々ある。
「まあ、ね。」
ちょっと照れた口調で言うと、アオイもちょっと笑った。
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作者名:練乳いちご | 作成日時:2021年8月21日 15時