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『ほら早く帰ろ?帰って勉強教えて、』
「違うんだ」
『おわ、っ!』
掴まれた右腕は、思いっきり引っ張られて
そのまま優しく体が包み込まれた。
「もっと早く、Aにこれを伝えていたら……Aは、善逸を好きにならず、こんな苦しい思いもしなかったかもしれない」
『……へ、え?たんじろ、?』
「善逸を想うAの邪魔はしたくなくて、言えなかった。でも……それが、ダメだったんだね、きっと」
理解できない言葉が、ずらりと並んでいく。
もう一度、ゆっくり、"炭治郎?"と呼んでみると
炭治郎はゆっくりと息をして、"今から言うこと全部、本気だから受け取ってほしい"と真っ直ぐな瞳で私を捉えた。
「Aが好きだ」
ドキって心臓が大きく跳ねて、さっきまで合わせていた視線が急に恥ずかしくなる。
行き場のない目線は、きっと赤くなってるであろう顔を隠すように炭治郎の体に埋まる。
『急に、なに、』
嘘やめてよ。
そう言おうとした口は、さっきの炭治郎の言葉を思い出して抑え込む。
嘘じゃない、本気だ。
炭治郎は馬鹿正直だから、嘘なんてつけない。
それに、さっきは……本気だから受けとってほしいと、言っていた。
「驚かせて、ごめん」
『謝らなくていいって』
逆に謝りたいのは私だ。
炭治郎の気持ちを、わかってあげられなかった。
私は炭治郎みたいに鼻が効く人じゃない。
だからほんの些細な変化でしか気づけない。
でも炭治郎は……優しすぎるから、変化も、何も、なかったんだ。私に悟られないように。
『返事は、っ』
「今しなくていいよ」
『……たん、じろ、』
「善逸のこと、そんなあっさり諦めきれないでしょ?」
"俺は何日でも、何年でも、待つよ"
ああ、どこまで優しいんだろう。炭治郎は。
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凪 - 面白かったです! (2020年2月1日 22時) (レス) id: b575dccd32 (このIDを非表示/違反報告)
よる - 超苦しい!なんかやっぱりきゅうってする!…炭治郎ぅう!私は好きだゾォォオ!! (2019年12月23日 1時) (レス) id: bbe87bcae1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふわふわべあー。 | 作成日時:2019年12月7日 21時