第69話 ページ27
.
「不死川さん。よく分かりましたね」
実弥「舐めんじゃねェ」
隣失礼します、と不死川さんの横に座る。
「今日は漉餡なんですね」
実弥「食うか?」
「え?いいんですか?」
意外な一言で、自身の耳を疑ってしまう。
折角の好物を分けてしまうなんて、一体どれだけ優しいのだろうか。
私だったら1人で食べちゃうや
実弥「ひとつだけだぞォ」
「勿論です!ありがとうございます」
有難く1口目を頬張る。
うん。美味しい。
実弥「で、今日はどうしたんだァ?おはぎ食いに来たわけじゃねぇだろ」
「はい。突然ですが不死川さんは想い人、いますか?」
不死川さんはおはぎを食べる手を止め、こちらを見つめてきた。
「な、なんでしょう?餡が付いてますか?」
実弥「違ぇよ。お前、時透に好かれてるだろ」
質問の答えになっていなくて唖然とする。
ただ、見透かされている。私は今まで、不死川さんに無一郎くんとの事を話したことはあっただろうか。否、話した記憶はない。
第一、不死川さんのお屋敷に来るのは、稽古目的が殆どだ。
「何故知ってるんですか?」
実弥「有り得るとしたら、時透だろォ」
「まぁ、確かに…そうですよね」
完全に見透かされ、少し恥ずかしくて俯く。
実弥「時透に何かされたのかァ?」
「いや、そうではなくて…。私は無一郎くんのことが好きなんでしょうか」
実弥「………いや、知らねェよ」
一体何を聞いてるんだろうか。そんなの自分の事なのに、不死川さんに聞いたってだめだ。
よく分からない、この胸の中のモヤモヤは、心に絡み付いて離れない。
どうにかしたくて、誰かに助けを求めているようだ。
実弥「恋ってやつだろ。時透はAに恋してんだろォ」
「……そう、なんですかね」
実弥「俺は知らねェけど、自分の気持ちに従った方が良いんじゃねぇの」
あの不死川さんが、意外にも的確なアドバイスをくれて驚く。
「不死川さん、びっくりしました。鬼を狩るのに恋なんていらないとか言うと思って」
実弥「…まァな。恋をしようがしまいがそいつの事だ。俺が口出しできる事じゃねェ。俺は恋なんていらねぇけど」
「不死川さん……それで、想い人はいるんですか?」
実弥「……お前…、そんなに知りてェのか…。いねぇよ」
ですよね…と少しがっかりしたが、不死川さんと食べるおはぎは美味しくて、優しい味がした。
.
104人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あまみっつ(プロフ) - コメントありがとうございます。嬉しいです!そして不死川さんはすけb((んん"っ、すみません (2020年5月9日 21時) (レス) id: 4646edcdc6 (このIDを非表示/違反報告)
かぷちーの - とても面白いです!更新頑張ってください!不死川さんはおはg(( (2020年5月7日 21時) (レス) id: 5678088658 (このIDを非表示/違反報告)
あまみっつ(プロフ) - 夏蜜柑さん» コメントありがとうございます。不死川さんの反応や如何に…?笑 更新頑張ります! (2020年3月26日 11時) (レス) id: 4646edcdc6 (このIDを非表示/違反報告)
あまみっつ(プロフ) - にゃんこさん» コメントありがとうございます。夢主ちゃんうっかりですね笑 (2020年3月26日 11時) (レス) id: 4646edcdc6 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑 - 不死川さんww好物バレてしまったwwww とても面白いです!続きが気になります。更新頑張ってください (2020年3月26日 8時) (レス) id: 1f2db930a1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あまみっつ | 作成日時:2020年3月22日 22時